みたま)” の例文
旧字:
聖上のみならず、私は玉音をとほして歴代 至尊のみたまを如実に感じた。 聖武天皇の玉音をもこゝに彷彿し申し上げたと云つてよい。
君臣相念 (新字旧仮名) / 亀井勝一郎(著)
奥様おくさんみたま何程どんなに喜んで聴いてらつしやるかと思ひましてネ——オホヽ梅子さん、又た年老としよりの愚痴話、御免遊ばせ——
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
多くの覇業はぎょうの虚偽、国家の争奪、権謀と術数と巧知、制度と道徳の仮面なぞが、この『直毘なおびみたま』に笑ってある。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
みたま因縁いんえんもうすものはまことに不思議ふしぎちからっているものらしく、これが初対面しょたいめんでありながら、相互おたがいあいだへだてのかきはきれいにられ、さながらけた姉妹きょうだいのように
「お父様にみたまがありますなら、どうか弟を救ってやってください。」
珊瑚 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
それを笑うために出て来た人があの大人だ。大人が古代の探求から見つけて来たものは、「直毘なおびみたま」の精神で、その言うところをつづめて見ると、「自然おのずからに帰れ」と教えたことになる。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
まくらもとには本居宣長の遺著『直毘なおびみたま』が置いてある。彼はそれを開いた。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)