)” の例文
巡査が来た時には夜がけていた。焚き火のそばに立って巡査は藤沢を訊問した。藤沢は、佐平に言ったと同じ理由を述べた。
熊の出る開墾地 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「さあ兄さん、えらいお待たせして済みまへん。どうぞ、もっとずっと火鉢ひばちの傍にお寄りやす。夜がけてきつう寒うおす」
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
夜はまた満天の星座と浪の音と虫の声々とにけてゆく壊れかかった二階のバルコンと寝室とを私はまた心にふり返った。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
誰か汝等を導ける、地獄の溪を常闇とこやみとなすけしよるよりいづるにあたりて誰か汝等の燈火ともしびとなれる 四三—四五
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
饗宴の盛大善美を盡せることは言ふもおろかなり、庭前には錦の幔幕を張りて舞臺を設け、管絃鼓箏の響は興を助けて短き春の夜のくるを知らず、かねて召し置かれたる白拍子しらびやうしの舞もはや終りし頃ほひ
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
十一月末の夜はけていても、廓の居まわりはさすがにまだ宵の口のように明るくて、多勢の抱妓かかえを置いているうえに
狂乱 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
彼我を彼に從ひてゆくこのまことの肉とともに導いてけしを過ぎ、まことの死者をはなれたり 一二一—一二三
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
へうとして何かに呼ぶ声すなりちまた吹雪ふぶきけまさるらし (現、新)
文庫版『雀の卵』覚書 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
野砲隊とほりしがとどろきやまずいづべの霜にけにつつあらむ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
野砲隊とほりしがとどろきやまずいづべの霜にけにつつあらむ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
石だたみ墓地の十字路じふじの日のけに音とめにけり落つるの實
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
石だたみ墓地の十字路じふじの日のけに音とめにけり落つるの実
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
春すでにけてほけゆく紫雲英田げんげだは我が木戸過ぎて打越橋まで
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
うちみはりまなこうつろに居る我を月昼のごと照りてくるか
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
春山はえごのしもとのとわたりをけつつかあらしきよろろ鶯
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
白木蓮の咲きの盛りに燕のこゑかすかにゆらぐ春けぬらむ
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
夢殿に太子ましましかくしこそ春の一日はけにたりけめ
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
南湖院潮騒しほざゐひくし春もややけにつつありて人は果てたり
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
天の河棕梠と棕梠との間より幽かに白しけにけらしも
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
鬼菱の花さく池の月しろは夜のいよいよにけてのちなり
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
そらなる調しらべやはらかに、地はけまさる。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
くる恐怖おそれか、いたきわななきに
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
青ざめて熟視みつめつつくるひとみに。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
月もくればさうなるはよ。
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
けて聴く浪の音には
第二海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
はずみ、けてる。
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)