ひらい)” の例文
ひらいてみらるゝに小判にて金百兩あり大岡殿心中にはなはだ感じられ是は全く由緒ゆゐしよある武士なり兎角零落に及んでも萬一の時のためにと先祖せんぞの意を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
衣食さえ出来れば大願成就とおもって居た処に、またはからずも王政維新、いよ/\日本国をひらいて本当の開国となったのは難有ありがたい。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
この世に眼ひらいてより眼をとじしまで、不幸艱難うち続き、しかしてのち彼自身は非常の苦痛を以て終れり、この解すべからざる事実の中にいかなる深意の存するや余は知らんと欲するなり。
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
僕はその枕元にツクネンとあっけにとられてながめていると、やがて恍惚うっとりとした眼をひらいてフト僕の方を御覧になって、はじめて気がついて嬉しいという風に、僕をソット引寄て、手枕をさせて横に寐かし
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
にもかくにも著訳書が私の身を立て家をす唯一の基本になって、ソレで私塾をひらいても、生徒からわずかばかりの授業料をかき集めて私の身に着けるようなケチな事をせずに
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
福澤諭吉は大塾をひらいて天下の子弟を教えねばならぬと人に約束したことはない、塾の盛衰に気をむような馬鹿はせぬと、腹の底に極端の覚悟をめて、塾をひらいたその時から
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ここにおいてか、剣術の道場をひらいて少年をおしうる者あり(旧来、徒士以下の者は、居合いあい、柔術じゅうじゅつ足軽あしがるは、弓、鉄砲、棒の芸をつとむるのみにて、槍術そうじゅつ、剣術を学ぶ者、はなはまれなりき)
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)