野邊のべ)” の例文
新字:野辺
殘しおき力に思ふ妻に別れし事なれば餘所よそ見目みるめ可哀いぢらしく哀れと云ふも餘りあり斯くてあるべき事ならねばそれ相應さうおう野邊のべの送りを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ひろ野邊のべにもまたそのはなに、ときならぬしもりたがやうに、んでむすめ、ヂュリエット!
野邊のべ草木くさきにのみ春は歸れども、世はおしなべて秋の暮、枯枝かれえだのみぞ多かりける。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
木立こだちを見れば沙門等しやもんら野邊のべおくりいとなみ
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
さかり來て野邊のべにおもへば
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
付て一同に通夜迄もなし翌朝よくあさ泣々なく/\野邊のべおくりさへいとねんごろに取行なひ妻の紀念かたみ孤子みなしご漸々やう/\男の手一ツにそだてゝ月日を送りけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
都大路みやこおほぢに世の榮華をつくすも、しづ伏屋ふせやあぜ落穗おちぼひろふも、暮らすは同じ五十年の夢の朝夕。妻子珍寶及王位さいしちんぱうおよびわうゐ命終いのちをはる時に隨ふものはなく、野邊のべより那方あなたの友とては、結脈けちみやく一つに珠數じゆず一聯のみ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
つくしけれども終に養生やうじやうかなはず相果あひはてけり因てあに半作は勿論半四郎ももとより孝心深き者ゆゑ其愁傷そのしうしやう大方ならずと雖もかくて有べきにあらざれば泣々なく/\野邊のべの送りを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)