酒代さかだい)” の例文
取てたのまれしとて罪の處は同じ事だぞと申さるゝに多兵衞は彌々いよ/\閉口へいこうなし實に恐れ入ました金子をべつに取てたのまれたと申ではなく少々せう/\ばかりの酒代さかだい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
兼吉けんきち五郎ごろうも主人に、おれがあやまるからといわれては口はあけない。酒代さかだいまいでかれらはむぞうさにきげんをなおした。水車の回転かいてんめずにすんだ。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
滿谷と柚木ゆのきが当分ロウランスのアトリエへ通ふ事になつて昨日きのふその同学生との顔繋ぎの式があつた。新入生が一にん三十フランづゝ酒代さかだいを出して饗応するのである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「うんもっともだ。さあこれだけやろう。つりは酒代さかだいだ。」と云いながらいくらだかわけのわからない大きなさつを一まい出してすたすた玄関にのぼりました。みんなははあっとおじぎをしました。
紫紺染について (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
一晩漁に行けば、二三日分の酒代さかだいはわけなくかせげるのでした。
正覚坊 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
以て見遁みのがし遣はさん併ながら手先の者共へ酒代さかだいにても遣はさねば相成らずと申をきゝ文藏は蘇生よみがへりたる心地にて大に喜びこれこそ地獄の沙汰もかね次第と目明めあかし方の兩人へ所持しよぢせし有金三十七兩を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
するが怪い者には決してござらぬと云に雲助共はさら聞入きゝいれずそんなら酒代さかだいを置てゆけ只通してなるものかと半四郎一人を取卷とりまきける故半四郎も今は是非なく覺悟かくごきはなほ内懷うちふところにて胴卷をしつかと結び帶を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)