トップ
>
邪気
>
あどけ
ふりがな文庫
“
邪気
(
あどけ
)” の例文
旧字:
邪氣
それが、顔
全体
(
いつたい
)
を恐ろしくして見せるけれども、笑ふ時は
邪気
(
あどけ
)
ない
小児
(
こども
)
の様で、小さい眼を愈々小さくして、さも面白相に肩を
撼
(
ゆす
)
る。
刑余の叔父
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
玉子は繁子に無いものを補うような、
何処
(
どこ
)
か
邪気
(
あどけ
)
ないところを
有
(
も
)
つ人だった。彼はこの若い
年長
(
としうえ
)
の婦人から自分の才能を
褒
(
ほ
)
められたことを思出した。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
最初の日、陶がボートの中で語った話や身振り、結婚してからのさまざまな
邪気
(
あどけ
)
ない遊戯、忘れていた細かいことが記憶に甦ってきて、事ごとに涙を絞らせる。
湖畔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
偃松が
疎
(
まば
)
らに平ったく寝ている、白山一華の白花が、ちらほら明るく咲いている、霧が谷の方から長い裾を引いて、来たとおもうと、雷鳥が
邪気
(
あどけ
)
ない顔をして
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
と叱るようにして促がすと、あんな妙なお雛様って——と一端は光子が、
邪気
(
あどけ
)
なく頬を膨らませてすねてはみたが、案外
従順
(
すなお
)
に、連れられるまま祖母の室に赴いた。
絶景万国博覧会
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
▼ もっと見る
もし私が初恋の経験を問はれたなら、私は彼女に対する其の時の
邪気
(
あどけ
)
ない心持を語るであらう。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
ルーベンスの名画から抜け出して来たようなたのしげな
邪気
(
あどけ
)
ないその顔は、どんなに人をひきつけたことでしょう、大勢の画家たちが我勝ちにと
画
(
えが
)
いたのも尤もなことでした。
フランダースの犬
(新字新仮名)
/
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー
(著)
新橋へ、人を見送りに行つたと云ふ以上、二時間もすれば帰つて来るべき筈の夫を、夕餉の支度を了へて、ボンヤリと待ちあぐんでゐる妻の
邪気
(
あどけ
)
ない面影が、暫らく彼の頭を支配した。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
あの
邪気
(
あどけ
)
ない、
制
(
おさ
)
へても制へきれないやうな笑声は、と聞くと、省吾は
最早
(
もう
)
遊びに来て居るものと見える。時々若い女の声も混つた——あゝ、お志保だ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
邪気
(
あどけ
)
ない単純な性格らしく思われるが、ときどき顔の向けようによって、積極的な意志と細心な思慮を隠しているとしか思われない、深い陰影が作られるのだった。
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
豊吉も藤野さんも出来なくて、私だけ手を挙げた時は、
邪気
(
あどけ
)
ない羨望の波が寄つた。若しかして、豊吉も藤野さんも手を挙げて、私だけ出来ない事があると、気の毒相な
眼眸
(
まなざし
)
をする。
二筋の血
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
新橋へ、人を見送りに行ったと云う以上、二時間もすれば帰って来るべき
筈
(
はず
)
の夫を、
夕餉
(
ゆうげ
)
の支度を
了
(
お
)
えて、ボンヤリと待ちあぐんでいる妻の
邪気
(
あどけ
)
ない面影が、
暫
(
しば
)
らく彼の頭を支配した。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
少女は
邪気
(
あどけ
)
なく眼を
瞠
(
みは
)
り
湖畔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
熟
(
じつ
)
と其の
邪気
(
あどけ
)
ない顔付を眺めた時は、あのお志保の涙に
霑
(
ぬ
)
れた
清
(
すゞ
)
しい
眸
(
ひとみ
)
を思出さずに居られなかつたのである。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
まことに、そのような
邪気
(
あどけ
)
なさは、里俗に云う、「
禿
(
かむろ
)
の
銭
(
ぜに
)
」「役者子供」などに当るのであろう。けれども、また工阪杉江にとると、それが
一入
(
ひとしお
)
いとし気に見えるのだった。
絶景万国博覧会
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
と
邪気
(
あどけ
)
なく言ひ乍ら、袴も脱がずに坐る。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
斯
(
か
)
うして
邪気
(
あどけ
)
ない生徒等と一緒に、
通
(
かよ
)
ひ
忸
(
な
)
れた道路を歩くといふのも、最早今日限りであるかと考へると、目に触れるものは
総
(
すべ
)
て丑松の心に
哀
(
かな
)
し
可懐
(
なつか
)
しい
感想
(
かんじ
)
を起させる。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
石町
(
こくちょう
)
で、大光斎といわれる
大店
(
おおだな
)
の人形師、その家つき娘の、末起の母親おゆうはそりゃ美しかった。色白で、細面ですらりとした瘠せ形で、どこかに、人の母となっても
邪気
(
あどけ
)
なさが漂っていた。
方子と末起
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
“邪気”の意味
《名詞》
邪気(じゃき)
悪意。
病気を起こす悪い気。
(出典:Wiktionary)
邪
常用漢字
中学
部首:⾢
8画
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
“邪気”で始まる語句
邪気無