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運轉
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うんてん
斯うなると、
一刻も
眤として
居られぬのは
武村兵曹である。
腕拱いて、
一心に
鐵檻車の
運轉を
瞻めて
居つたが、
忽ち
大聲に
若しや
哀れな勞働者は其の唄の
終らぬ
中、
惡魔のやうな機械の
運轉の
渦中に
身躰を
卷込まれて、唄の
文句の其の
通り、
長くもない
生涯の
終を
告げたのではあるまいか。
其を
此艇の
總の
機關に
適用したので、
艇の
進行も、
三尖衝角の
廻旋も、
新式水雷發射機の
運轉も、すべて
此秘密なる
活動力によつて
支配されて
居るのである。
『
今から
其樣に
弱つては
駄目だ、
何んでも
今夜はあの
深林の
眞中で
夜を
明す
覺悟だ。』と
元氣よく
言放つて
立上り、
疲れたる
水兵に
代つて
鐵車の
運轉を
始めた。