運座うんざ)” の例文
月に三度の運座うんざの會の時は、歸りが遲くなるから、誰にも氣の付かないやうに、そつと夜中に歸つて來ても入れるやうにしてあるんです
銭形平次捕物控:260 女臼 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
きょうは夕方から深川に発句ほっく運座うんざがあるので、まずお絹の病気を見舞って、それから深川へまわろうと、彼はひるさがりに屋敷をぬけ出した。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「ああ、なるほど、連歌の運座うんざでござりますか。それはご風流なことで……さようなお催しならば、どうぞご遠慮なくお使いなされて下さいませ」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
運座うんざの時無造作にして意義浅く分りやすき句が常に多数の選に入る如く、今二子が植木屋の句において意見合したるはこの句の無造作なるに因るならん。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
誰もが盃をいて紙と筆を採り、白い紙の面をにらみ込んだ。酒宴が脱線して、運座うんざとなったのである。
純情狸 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
手前のはほんの下手へたの横好きで今日も運座うんざ、明日も運座、と、所々方々へ臆面もなくしやしやり出ますが、どう云ふものか、句の方は一向あたまを出してくれません。
戯作三昧 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
青山さん、宅じゃこんな勤めをしていますが、たまにおひまをもらいまして、運座うんざへ出かけるのが何よりの楽しみなんですよ。ごらんなさい、わたしどもの家には白い団扇うちわが一本も残っていません。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
午後ひるすぎから亀井戸かめいど竜眼寺りゅうがんじの書院で俳諧はいかい運座うんざがあるというので、蘿月らげつはその日の午前に訪ねて来た長吉と茶漬ちゃづけをすましたのち小梅こうめ住居すまいから押上おしあげ堀割ほりわり柳島やなぎしまの方へと連れだって話しながら歩いた。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「そんなものかも知れない、——ところで運座うんざはどんな具合だつたえ、——俺は俳諧も都々逸どどいつも知らないが」
銭形平次捕物控:167 毒酒 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
手前のはほんの下手へたの横好きで今日も運座うんざ、明日も運座、と、所々方々へ臆面もなくしゃしゃり出ますが、どういうものか、句の方はいっこう頭を出してくれません。
戯作三昧 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
夕方、弁当に酒が一本ずつ出たので、せめて、それを慰みに、運座うんざの様をながめていた。じっと、話しもしないで、それで退屈そうでもない人々が、彼にはふしぎだった。
濞かみ浪人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その日は半七に別れて、おじさんは深川の某所に開かれる発句の運座うんざに行った。
半七捕物帳:01 お文の魂 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
一、運座うんざ点取てんとりなど人と競争するも善し。秀逸の賞品を得るが如きは卑野にして君子の為すべき所に非ず。俳句の下巻または巻を取るは苦しからず。時宜じぎりて俳書を賞品と為すも善かるべし。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
午後ひるすぎから亀井戸かめゐど龍眼寺りゆうがんじ書院しよゐん俳諧はいかい運座うんざがあるといふので、蘿月らげつはその日の午前にたづねて来た長吉ちやうきち茶漬ちやづけをすましたのち小梅こうめ住居すまひから押上おしあげ堀割ほりわり柳島やなぎしまはうへと連れだつて話しながら歩いた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
運座うんざの歸り、吾妻屋永左衞門は、お弓町の淋しい通りを本郷三丁目の自分の家へ急いでをりました。
その日は半七に別れて、をぢさんは深川の某所に開かれる發句の運座うんざに行つた。
半七捕物帳:01 お文の魂 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
その晩、真言坂しんごんざかの上の、俳諧師はいかいし荷亭かていの宅では運座うんざがあった。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
運座うんざの帰り、吾妻屋永左衛門は、お弓町の淋しい通りを本郷三丁目の自分の家へ急いで居りました。
「少しも見當はつきません。——富士見町に運座うんざの會があつての歸りでしたが」
徳太郎が運座うんざのケエで出かける晩は、惣十郎町の松五郎を呼び寄せて、土藏の蔭で逢引をするんですつてね、家の者だつて知らない筈は無いが、三百兩の持參金の手前默つて居るんでせう。
銭形平次捕物控:260 女臼 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)