路易ルイ)” の例文
それも、路易ルイ朝に入ると肉彫の技巧が繊細になって、厚みが要求され、終いには、着ては歩けないほどの重さになってしまったものだ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
将軍家慶いえよしは、ようやくその政をみずからするを得たり。彼が家慶における関係は、あたかもチルゴーが路易ルイ十六世におけるが如き関係なりし。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
半白の頬鬚ほほひげを蓄へた主人役の伯爵が、胸間に幾つかの勲章を帯びて、路易ルイ十五世式の装ひをらした年上の伯爵夫人と一しよに、大様おほやうに客を迎へてゐた。
舞踏会 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
例へば近代美人を論ずるものの例としていつも引合に出される路易ルイ十五世の嬖幸マダーム・ポンパドールの美人振を描写したものなどに就いて見ても、その一端が窺はれる。
東西ほくろ考 (新字旧仮名) / 堀口九万一(著)
路易ルイ第十四世の寵愛が、メントノン公爵夫人の一身にあつまって世人の目を驚かした頃、宮中に出入をする年寄った女学士にマドレエヌ・ド・スキュデリイと云う人があった。
女の決闘 (新字新仮名) / 太宰治(著)
かつて何かの挿画で見た路易ルイ王朝式というのであったろう……緋色ひいろ羅紗らしゃに黄金色の房を並べた窓飾カーテン卓子被テーブルクロス白塗しろぬりに金銀宝石をちりばめた豪華な椅子や卓子テーブルがモリモリ並んでいる。
冥土行進曲 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
終には路易ルイきん一つ(「ルイドオル」と云ふ、約九圓七十八錢)取出し、指もてつまみて女の前にきらめかし、只だ一たびの接吻を許さば、これをおん身におくるべし、この金あらば
仏蘭西フランス現代の詩壇に最も幽暗典雅の風格を示すの「夢と影との詩人」アンリイ・ド・レニエエは、近世的都市の喧騒から逃れて路易ルイ大王が覇業の跡なるヴェルサイユの旧苑にさまよい
霊廟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
続いて亜米利加アメリカの百万長者ビュフォン夫人の「金の胡蝶」、聖林ハリウッドの大女優リカルド・コルテスの「ゴンドラ」、ドイネの名家ド・リュール夫人の「路易ルイ十五世時代の花籠」、……清楚なるもの
その人形と云うは、路易ルイ朝末期の格檣襞トレリ服をつけたる等身人形にして、帷幕の蔭にある寝台上にあり、用いたる自殺用短剣は、その護符刀ならんと推定さる。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
破産せず、増税せず、借金せずとは、これチルゴーが路易ルイ十六世朝の財政に処せる綱領にあらずや。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
その丸卓子テーブルの周囲には、路易ルイ王朝好みのお乳母うば車、華奢きゃしゃ籐椅子とういす、花で飾った揺籠クレードル、カンガルー型のロッキングなぞが、メリー・ゴー・ラウンド式に排列されている……そんなもの一つ一つにも
白菊 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
されど漆器のみはこれに反してつとに欧洲人を驚かせし事は千六百年代のマザラン宮殿宝什目録ほうじゅうもくろくに徴するもまた明かなり。ややくだつて路易ルイ十五世及十六世の治世に至るや日本漆器の流行はなはださかんとなりぬ。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
部屋の隅の路易ルイ朝ふうの彫刻ほりのある大きな箱時計が六時を打つ。
ダンネベルグ夫人が横たわっている寝台は、帷幕とばりのすぐ内側にあって、それは、松毬形まつかさがた頂花たてばなを頭飾にし、その柱の上に、レースの天蓋をつけた路易ルイ朝風の桃花木マホガニー作りだった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
路易ルイ王朝好み、ロダンのトルソー、セザンヌの静物画……。
冥土行進曲 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
数知れぬ神となされて路易ルイ大王はなほも世にあり。れば
霊廟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)