貯蓄たくはへ)” の例文
俺も少しばかりの貯蓄たくはへをすつかり費ひ果して、竹刀削りの内職で命をつなぐやうな目に逢つてゐるが、一年ばかりの間散々面白い思ひをしたから、あの女を
結局仕事が無ければ貯蓄たくはへのない職人のこととて米櫃の中も空であるのが多いやうな仕儀となつた。
名工出世譚 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
……お慈悲深じひぶかいおかただけに、お貯蓄たくはへつてはござりませんで、……おなくなりなさりますと、ぐに御新姐樣ごしんぞさまが、貴下あなたと、お年寄としよりかゝへて、お一人ひとり御辛勞ごしんらうをなさりました。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一番金を持つて居たのはお竹で、これは三十兩餘り、一番少ないのは喜三郎、三十兩の貯蓄たくはへは主人に預けてあるさうで、自分の手にはほんの二分か一兩だけ。國松は十兩餘り。
兩名りやうめい炭燒すみやきが、同一おなじ雪籠ゆきごめつてふうめられたやうになり、二日ふつか三日みつか貯蓄たくはへもあつたが、四日目よつかめから、あは一粒ひとつぶくちにしないで、くまごと荒漢等あらをのこら山狗やまいぬかとばかりおとろへ、ひからせて
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
其處そこ遁路にげみちこしらく、間道かんだう穴兵糧あなびやうらうくだん貯蓄たくはへ留桶とめをけみづを、片手かたてにざぶ/\、とつては、ぶく/\、ざぶ/\とつては、ぶく/\、小兒こども爪尖つまさきひざから、またへそからむねかたから咽喉のど
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)