象牙ざうげ)” の例文
ばんだ象牙ざうげひたひ薔薇ばらの花、自分で自分を愛してゐる黄ばんだ象牙ざうげひたひ薔薇ばらの花、處女をとめよる祕密ひみつをお話し、僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
土産みやげにこんなものをつてました。蒙古刀もうこたうださうです」とひながら、すぐいてせた。うしろしてあつた象牙ざうげやうぼうも二ほんいてせた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「えゝ、貸さう。」と、木精は走つて帰りましたが、間もなく、銀や、象牙ざうげや、真珠貝などをちりばめた、美しいマンドリンを一ちやうもつて来ました。
虹猫と木精 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
けれどもやがて月が頭の上に出て月見草の花がほのかな夢をたゞよはしフィーマスの土の水たまりにも象牙ざうげ細工の紫がかった月がうつりどこかで小さな羽虫がふるふ。
秋田街道 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
いつもなら、出ると直ぐ親しい感じを起す青羅紗あをらしやの玉臺や、こち/\云ふ紅白象牙ざうげの玉などが、渠の目にもあたまにも、散らけて遠いところにあるやうに感じられた。
象牙ざうげの飾りをたくさんつけ、真鍮しんちゆう胸環むねわをまとひ、鉄の輪を足にはめてゐました。その顔は他の者よりも美しく秀でてゐて、笑ふたびに水晶のやうな歯がちらちら見えました。
アフリカのスタンレー (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
彼女を長椅子ながいすに呼びよせてたちまち膝一ぱいに彼女の『箱』の磁器じきだの象牙ざうげだの、蝋などの中味をひろげ、同時に彼女の覺えたあやしげな英語で説明したり喜んだりするのだつた。
加野は返事もしないで、安南人の胸の、象牙ざうげの大官章をむしり取つて、自分の胸につるしてゐる。ゆき子は厭な気持ちだつた。その夜、酒に酔つた加野にゆき子は腕を傷つけられたのだ。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
象牙ざうげかたどる絃月げんげつ
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
象牙ざうげ琴柱ことぢ、そのそば
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
が持てる象牙ざうげつぼ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
巨大なる象牙ざうげ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)