ことづか)” の例文
「篠田、色々話はあるが、何も彼も明日あした出直して来よう、それまでまあ君心を鎮めて待ってくれ。それじゃことづかり物を渡したぜ。」
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さてこれは小宮山こみやま良介という学生が、ある夏北陸道を漫遊しました時、越中の国の小川という温泉から湯女ゆなの魂をことづかって、遥々はるばる東京まで持って参ったというお話。
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
またお気にお懸け遊ばすには及びませんが、おことづかり下さいましたものもせますね。それも二度、これも二度、重ね重ね御災難、二度のことは三度とか申します。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「お蔦さんにことづかったの。あの、記念かたみにね、貴下に上げて下さいッて、主税さん、」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
づはとどこおりなく大阪へ——それから豊前ぶぜんへ廻つて、中津なかつの米を江戸へ積んで、江戸から奥州へ渡つて、又青森から津軽藩の米をことづかつて、一度品川まで戻つたところあらためて津軽の材木を積むために
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
づはとゞこほりなく大阪おほさかへ——それから豐前ぶぜん𢌞まはつて、中津なかつこめ江戸えどんで、江戸えどから奧州あうしうわたつて、また青森あをもりから津輕藩つがるはんこめことづかつて、一品川しながはまでもどつたところあらためて津輕つがる材木ざいもくむために
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「その勝山からことづかりましたので、奥様にもお目にかかって御挨拶を。」
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
枕に着かるるどころではありませぬ、ああ越中と越後と国は変っても、女のおもいは離れぬかとまさかに魂をことづかったとまでは、信じなかったのでありまするけれども、つくづく溜息をしたのであります。
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)