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藍瓶
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あゐがめ
それに
其の
頃は
紺が
七日からも
經たねば
沸ないやうな
藍瓶で
染られたので、
今の
普通の
反物のやうな
水で
落ちないかと
思へば
日に
褪めるといふのではなく
五
彩の
漣は
鴛鴦を
浮べ、
沖の
巌は
羽音とゝもに
鵜を
放ち、千
仭の
断崖の
帳は、
藍瓶の
淵に
染まつて、
黒き
蠑螈の
其の
丈大蛇の
如きを
沈めて
暗い。
数々の
深秘と、
凄麗と、
荘厳とを
想はれよ。