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薄闇
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うすくら
彼等はさういふ
仕事があるので
墓へ
行くにも
人よりも
先立つて
非常に
急いだのであつたが、それでも
米が
蒸せるまでには
家の
内は
薄闇く
成つて
居た。
ただし部屋に入る前に、おそらく階段の
薄闇がりで、殿下の服装を脱ぎ棄てて、
扈従の
装に変えたのであろう。
暫くして
針を
拔いて
指の
先で
針の
趾を
抑へて
其處へ
絆創膏を
貼つた。それが
凡て
薄闇い
手ランプの
光で
行はれた。
勘次に
手ランプを
近づけさせて
醫者はやつと
注射を
畢つた。
おつぎは
萎れて
只ぽつさりと
立つて
居る。
勘次の
目は
薄闇い
手ランプに
光つた。