トップ
>
蕪雑
>
ぶざつ
ふりがな文庫
“
蕪雑
(
ぶざつ
)” の例文
けれども、江戸伝来の趣味性は九州の足軽
風情
(
ふぜい
)
が経営した俗悪
蕪雑
(
ぶざつ
)
な「明治」と一致する事が出来ず、家産を失うと共に盲目になった。
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ただ粗漏
蕪雑
(
ぶざつ
)
のまま大体を取纏めて公表を急がなければならなくなった筆者の苦衷を御諒恕の程幾重にも伏願する次第である。
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
自分は最後にこの二篇の
蕪雑
(
ぶざつ
)
な印象記を井川恭氏に献じて自分が同氏に負っている感謝をわずかでも表したいと思うことを附記しておく(おわり)
松江印象記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
匆卒
(
そうそつ
)
の間に筆を執ったためにはなはだ不秩序で
蕪雑
(
ぶざつ
)
な随感録になってしまったが、トーキーの研究者に多少でも参考になることができたら大幸である。
耳と目
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その
噪
(
さわ
)
がしい華やかさ、そのロンドンらしい「遵奉されたる
蕪雑
(
ぶざつ
)
さ」において、この「巷の詩」のもつ
調子
(
ニュアンス
)
とすこしも変らないものを見出し得る町が
踊る地平線:03 黄と白の群像
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
▼ もっと見る
これがもしも貞子の家だったら貞子はこれを見た目も美しく盛り合せて食欲をそそり立てるであろうに、男世帯の
蕪雑
(
ぶざつ
)
さはただ量的に豊富なばかりである。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
現時の放漫
蕪雑
(
ぶざつ
)
な共産主義によって精神的孤立の犯される苦しみ、それ以上の深い苦しみは世に存しない。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
この
蕪雑
(
ぶざつ
)
な
現
(
うつ
)
し
世
(
よ
)
も、美の訪れの場所である。そうして下根の凡夫も、救いの御手に渡さるる身である。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
一たい、我々の祖先は、他を
蕪雑
(
ぶざつ
)
に模倣するには、あまりに高い文化的感性の持続を伝承してゐた。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
しかしそれが露骨に
蕪雑
(
ぶざつ
)
で、つまりは見てくれという示威的な要素が多分にふくまれているようだ。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
縦令
(
たとい
)
外面的な生活が複雑になろうとも、言葉の持つ意味の長い伝統によって
蕪雑
(
ぶざつ
)
になっていようとも、一人の詩人の徹視はよく乱れた糸のような生活の混乱をうち貫き
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
今日より見れば随分
蕪雑
(
ぶざつ
)
なる或者はアホダラ経に似たる当時より見れば、
頗
(
すこぶ
)
る傑作なる文学を出し、更らに矢野文雄氏の経国美談報知新聞の繋思談の如きものとなりて現はれ
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
以前は
荷馬車
(
にばしゃ
)
などは通わない
里道
(
さとみち
)
であった道が、
蕪雑
(
ぶざつ
)
に落ちつきの悪い県道となっていた。
落穂
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
詩は古典的でなければならぬとは思はぬけれども、現代の日常語は詩語としては余りに
蕪雑
(
ぶざつ
)
である、混乱してゐる、洗練されてゐない。といふ議論があつた。これは比較的有力な議論であつた。
弓町より
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
しかしダンネベルグ夫人のは、そういった
蕪雑
(
ぶざつ
)
な目撃現象ではありません
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
しかしあまりにも無作法にこの特権を濫用したこの
蕪雑
(
ぶざつ
)
なる一編の放言に対しては読者の寛容を祈る次第である。
俳諧の本質的概論
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
文章は勿論
蕪雑
(
ぶざつ
)
である。が、当時の心もちは、或はその蕪雑な所に、反ってはっきり出ているかも知れない。
上海游記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この
蕪雑
(
ぶざつ
)
な
現
(
うつ
)
し
世
(
よ
)
も、美の訪れの場所である。そうして
下根
(
げこん
)
の凡夫も救いの御手に渡さるる身である。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
この
蕪雑
(
ぶざつ
)
なる研究の一章は
審
(
つまびらか
)
に役者絵の沿革を説明せんと欲するよりも、むしろこれに対する愛惜の詩情を吐露せんとする
抒情詩
(
じょじょうし
)
の代用としてこれを草したるのみ。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その光りと影、その
廃頽
(
はいたい
)
と暗示、私は哈爾賓の持つ
蕪雑
(
ぶざつ
)
な詩趣を愛する。
踊る地平線:01 踊る地平線
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
詩は古典的でなければならぬとは思わぬけれども、現在の日常語は詩語としてはあまりに
蕪雑
(
ぶざつ
)
である、混乱している、洗練されていない。という議論があった。これは比較的有力な議論であった。
弓町より
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
わたしはどうかしてこの野卑
蕪雑
(
ぶざつ
)
なデアルの文体を
排棄
(
はいき
)
しようと思いながら多年の
陋習
(
ろうしゅう
)
遂に改むるによしなく空しく
紅葉
(
こうよう
)
一葉
(
いちよう
)
の如き文才なきを
歎
(
たん
)
じている次第であるノデアル。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「親しさ」、これをこそ工藝の特質と云えないだろうか。日々の
伴侶
(
はんりょ
)
たるもの、この
蕪雑
(
ぶざつ
)
な現実の世界に吾々の身に仕え心を慰めようとて生れたるもの、それを工藝と云えないだろうか。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
もし器の美がなかったら、世は早くも
蕪雑
(
ぶざつ
)
な世に化したであろう。心は殺伐に流れたであろう。器の美なき世は住みにくき世である。今の世が
焦
(
いらだ
)
つのは、器が醜くなったからではないであろうか。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
もし器の美がなかったら、世は早くも
蕪雑
(
ぶざつ
)
な世に化したであろう。心は
殺伐
(
さつばつ
)
に流れたであろう。器の美なき世は住みにくき世である。今の世が
焦
(
いらだ
)
つのは、器が醜くなったからではないであろうか。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
蕪
漢検準1級
部首:⾋
15画
雑
常用漢字
小5
部首:⾫
14画
“蕪雑”で始まる語句
蕪雑炊