蒲田かまた)” の例文
このあいだ見た蒲田かまた映画「その夜の女」などでも日本映画としては相当進歩したものではあろうが、しかし配役があまりに定石的で
映画雑感(Ⅳ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「わたし、先生の小説には思出の深い事があるのよ。あの時分、別に役も何も付いた訳じゃないけれど、始めて蒲田かまた這入はいったのよ。」
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
現代で羽田はねだというと直ぐと稲荷いなりを説き、蒲田かまたから電車で六七分の間に行かれるけれど、天保時代にはとてもそう行かなかった。
悪因縁の怨 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
下町では、初めに書いた昔の江戸ッ子町のほかに、大森から蒲田かまたへかけてはかなり居るらしく、小梅あたりには純江戸ッ子らしいのが居る。
私は焼残るとは考えていなかったので、なぜなら私の住居は蒲田かまたにあり、近くに下丸子しもまるこの大工場地帯があって、ここはすでに大爆撃を受けていた。
魔の退屈 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
そうでない日はちょうど会社の退けた時刻に大井町で待ち合わせて、蒲田かまた、大森、品川、目黒、主としてあの辺の郊外から、市中では高輪たかなわや田町や三田あたりを廻って見て
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
これはね、私が大学へはいったとしの秋に、或るひとに連れられて松竹の蒲田かまた撮影所へ遊びに行って、その時の記念写真なのです。その頃、松竹の撮影所は、蒲田にありました。
小さいアルバム (新字新仮名) / 太宰治(著)
そして、蒲田かまた、鈴ヶ森、浜川と足を早めて、一歩一歩と江戸の府内へ急いでゆく。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
入口のにはくわの鏡台をおいて、束髪そくはつ芳子よしこ(その当時の養女、もと新橋芸者の寿福じゅふく——後に蒲田かまたの映画女優となった川田芳子)が女番頭おんなばんとうに帯をしめてもらって、帰り仕度をしているところであった。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
かつて、ものにしるして、東海道中とうかいだうちう品川しながはのはじめより、大阪おほさかまはり、山陰道さんいんだうつうじて、汽車きしやから、婀娜あだと、しかして、窈窕えうてうと、に、禽類きんるゐ佳人かじんるのは、蒲田かまた白鷺しらさぎと、但馬たじま豐岡とよをかつるばかりである
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
電車が蒲田かまた駅につくと、二人は、あわてて下りた。
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
義母おつかさん此處こゝうめ名高なだか蒲田かまたですね。』
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
蒲田かまたの男優が二人来ているのよ」
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)