かう)” の例文
「さア、何卒どうぞ是れへ」とお加女が座をいざりて上座を譲らんとするを「ヤ、床の置物は御免ごめんかうむらう」と、客はかへつて梅子の座側に近づかんとす
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
友達いやしがりて万年町まんねんてうの呼名今に残れども、三五郎といへば滑稽者おどけものと承知して憎くむ者の無きも一徳なりし、田中屋は我が命の綱、親子がかうむる御恩すくなからず
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かうふりける又野尻宿のじりじゆくの與惣次の實家は縁類えんるゐの者を以て養子となし其の身は傳吉方へ引取れ一生安樂あんらくすごしお專も其後子供幾多まうけければ傳吉が取計とりはからひにて實家森田やの家名かめい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
見ることを得る外部は、見ることを得ざる内部を語り難し。盲目なる世眼を盲目なる儘ににらましめて、真贄しんしなる霊剣を空際くうさいに撃つ雄士ますらをは、人間が感謝を払はずして恩沢をかうむる神の如し。
人生に相渉るとは何の謂ぞ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
友達ともだちいやしがりて萬年町まんねんちやう呼名よびないまのこれども、三五らうといへば滑稽者おどけもの承知しやうちしてくむものなききも一とくなりし、田中屋たなかやいのちつな親子おやこかうむる御恩ごおんすくなからず
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)