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葭簾
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よしず
ふりがな文庫
“
葭簾
(
よしず
)” の例文
ガラツ八は少し這ひ加減に
葭簾
(
よしず
)
の下の方を押すと、其處だけは、
杭
(
くひ
)
と縁が切れて、手に從つて、かなり大きい穴が開いて行くのです。
銭形平次捕物控:037 人形の誘惑
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お
切米
(
きりまい
)
、お
扶持米
(
ふちまい
)
、
御役料
(
おやくれう
)
の手形書替へをする。札差の前身は、その役所近くに食物や、お茶を賣つてゐた
葭簾
(
よしず
)
ばりの茶店だつたのだ。
花火と大川端
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
異人館の丘の
崖端
(
がけはし
)
から川を見下ろすと、昼間見る川は
賑
(
にぎや
)
かだつた。河原の
砂利
(
じゃり
)
に低く
葭簾
(
よしず
)
の屋根を並べて、遊び茶屋が出来てゐた。
川
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
誰か、乗っているにちがいなかったが、和田は、町人か、百姓なら、話をして、借りて行こうと、疲れた腰を上げて、
葭簾
(
よしず
)
の外へ、一歩出た。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
僕の目を覚ました時にはもう
軒先
(
のきさき
)
の
葭簾
(
よしず
)
の
日除
(
ひよ
)
けは薄日の光を
透
(
す
)
かしていた。僕は洗面器を持って庭へ下り、裏の
井戸
(
いど
)
ばたへ顔を洗いに行った。
海のほとり
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
ほどなく、鎮守の社へいって見ると、歌舞伎の柱を押立てて
緞帳
(
どんちょう
)
をつり、まわりへ
蓆
(
むしろ
)
と
葭簾
(
よしず
)
を張りめぐらしてある。
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それに高い
葭簾
(
よしず
)
で家をかこうということが、一層屋内を暗くする。私は娘達を残して置いて、
独
(
ひと
)
りで町へ出てみた。チラチラ雪の中で
橙火
(
あかり
)
の
点
(
つ
)
く頃だった。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
芳
(
よし
)
爺さんに初めて会ったのは「東」の海水小屋であった。冬のことで、海水小屋は取り払われ、半分朽ちた
葭簾
(
よしず
)
の屋根と、板を打ちつけた腰掛が一部だけ残っていた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
正午近くに、いつも、向うの肴屋の河岸がかえって来て、立てた
葭簾
(
よしず
)
のかげに大ぜいお客のあつまるとき、目かくしをした学校の二階からゆたかなオルガンの音が聞えて来ました。
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
地面には夜露のしとりがまだ乾かぬくらいで、
葭簾
(
よしず
)
をかけた花屋の車からは、濃い花の色が鮮かに目に映った。都会人のきりりとした顔や、どうかすると耳に入る女の声も胸が透くようであった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
あまり虫が多いので、窓に
葭簾
(
よしず
)
の戸をはめさせた。
言葉言葉言葉
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
土手の兩側は一段低い町家で、土手の上には、
葭簾
(
よしず
)
張りや粗末な板屋根の、遊客目當ての茶屋が斷續し乍ら續いて居ります。
銭形平次捕物控:174 髷切り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
尤
(
もっと
)
も遊園とは言うものの、庭の出来ている次第にはあらず。只大きい蓮池のまわりに
葭簾
(
よしず
)
張りの掛茶屋のあるだけなり。
北京日記抄
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
池は
葭簾
(
よしず
)
で
覆
(
おお
)
ったのもあり、
露出
(
ろしゅつ
)
したのもあった。
逞
(
たく
)
ましい水音を立てて、崖とは反対の道路の
石垣
(
いしがき
)
の下を
大溝
(
おおどぶ
)
が流れている。これは市中の
汚水
(
おすい
)
を集めて
濁
(
にご
)
っている。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
芳爺
(
よしじい
)
さんに初めて会ったのは「東」の海水小屋であった。冬のことで、海水小屋は取り払われ、半分朽ちた
葭簾
(
よしず
)
の屋根と、板を打ちつけた腰掛が一部だけ残っていた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
時は夏五月、日盛りは過ぎたが、
葭簾
(
よしず
)
の蔭で、地はそんなに焼けてもいなかったのに
打水
(
うちみず
)
が充分に
沁
(
し
)
みて、お山から吹き下ろす神風が
懷
(
ふところ
)
に入る時は春先とも思うほどの
心地
(
ここち
)
がします。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
土手の両側は一段低い町家で、土手の上には、
葭簾
(
よしず
)
張りや粗末な板屋根の、遊客目当ての茶屋が断続し乍ら続いて居ります。
銭形平次捕物控:174 髷切り
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
夕方になると六十五六になる爺さんが車屋台を
曳
(
ひ
)
いて来て、
葭簾
(
よしず
)
で三方を囲い、腰掛けを二つ並べて商売を始める。夜が明けると片づけて、車屋台を曳いて帰ってゆく。
嘘アつかねえ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
僕等のいるのは何もない庭へ
葭簾
(
よしず
)
の
日除
(
ひよ
)
けを差しかけた六畳
二間
(
ふたま
)
の離れだった。庭には何もないと言っても、この
海辺
(
うみべ
)
に多い
弘法麦
(
こうぼうむぎ
)
だけは
疎
(
まば
)
らに砂の上に
穂
(
ほ
)
を垂れていた。
海のほとり
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
欅
(
けやき
)
の並木の間に
葭簾
(
よしず
)
で囲った茶店一軒。
狐
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
葭簾
(
よしず
)
の陰で、顔は半分見えず、あの燃える瞳も隠れて居りますが、気魄の激しさを、平次は近々と感ずるのでした。
銭形平次捕物控:245 春宵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ひっそりと暗く
葭簾
(
よしず
)
が巻いてある、もう肌さむいくらいな川風に、柳の枯葉はあわれなほど
脆
(
もろ
)
く舞い散り、往来の人の忙しげな足どりも、物売のかなしげな呼びごえも
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そんな事を言ひ乍ら、小屋の後ろの方、見物人の爲に作つた、
葭簾
(
よしず
)
張の便所の側まで行くと、平次は默つて突立つたまゝ、暫くは動かうともしません。
銭形平次捕物控:037 人形の誘惑
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
両国広小路のほうにはもう水茶屋が出来て、
葭簾
(
よしず
)
張りに色とりどりの
暖簾
(
のれん
)
を掛けた小屋が並び、客を呼ぶ女たちの賑やかな声が聞えていた。——おせんは口の中でなにか呟いた。
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
葭簾
(
よしず
)
張りの茶店に、いろ/\の小旗をなびかせて居りますが、奧は普通の家になつて、其處にお銀と、茶汲女のお松といふ十八九の娘が一緒に住んでゐるのです。
銭形平次捕物控:321 橋場の人魚
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
芝居小屋は
鎭守
(
ちんじゆ
)
の森の後ろ、北向の薄寒さうな空地に、
杭
(
くひ
)
を打ち、板を張り、足りないところは、
葭簾
(
よしず
)
と古い幕をめぐらして、どうやら恰好だけはつけて居りました。
銭形平次捕物控:270 転婆娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
葭簾
(
よしず
)
張りの茶店に、いろいろの小旗をなびかせておりますが、奥は普通の家になって、そこにお銀と、茶汲女のお松という十八九の娘がいっしょに住んでいるのです。
銭形平次捕物控:321 橋場の人魚
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
広小路の
葭簾
(
よしず
)
小屋を覗くと、中は空っぽ、薄暗くなると引揚げて、浜町の家へ帰ることを確かめて、玄々斎の隠れ家へ辿り着いたのは、もうすっかり暮れてからでした。
銭形平次捕物控:094 死相の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
両国の広小路に、
葭簾
(
よしず
)
か何か張って、弟子の一人も使っている人相見、その頃、江戸中の評判男で、一部からは予言者ほど尊敬され、一部からは大山師のように言われていた玄々斎でした。
銭形平次捕物控:094 死相の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あの懷中ばかり見てゐた息子も、錢箱の裏ばかり覗いてゐた娘も、逃げたと見せて、實は俺の話を
葭簾
(
よしず
)
の外で聽いてゐたよ。俺はあの二人に土竈の仕掛の事を聽かせてやりたかつたんだ」
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
天井に張った、幕やら
葭簾
(
よしず
)
やらを通して、ほんのり月の光が射し込んで、白張も、柳も塔婆も、かなりはっきり見えます。一つは、平次の眼が、この薄暗がりに馴れたせいもあるでしょう。
銭形平次捕物控:005 幽霊にされた女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次が
葭簾
(
よしず
)
の中に顏を突つ込むと、お銀は少しあわてて飛んで出ました。
銭形平次捕物控:321 橋場の人魚
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
女房は
葭簾
(
よしず
)
の外へ出て、金沢の方へと小手をかざすのです。
天保の飛行術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
紙の紅葉の枝の下、ひよいと
葭簾
(
よしず
)
の中を覗いて
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
葭簾
(
よしず
)
の前後から飛込んだ平次とガラッ八。
銭形平次捕物控:094 死相の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
八五郎が
葭簾
(
よしず
)
の間から
顎
(
あご
)
を出すのです。
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
葭
漢検1級
部首:⾋
12画
簾
漢検準1級
部首:⽵
19画
“葭簾”で始まる語句
葭簾張
葭簾囲