トップ
>
荏苒
>
じんぜん
ふりがな文庫
“
荏苒
(
じんぜん
)” の例文
「なにを申す、黄忠いま対山の頂にあり、日々わが陣の虚実をうかがう。
荏苒
(
じんぜん
)
これを打ち破らざれば、わが軍の
頽勢
(
たいせい
)
を如何せん」
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これ以上
荏苒
(
じんぜん
)
日を
虚
(
むな
)
しうすることはできないから、このうえは官庁側においてもいま一歩積極的に出て、業者とともに悩み、ともにはかり
思い:情報局の映画新体制案について
(新字新仮名)
/
伊丹万作
(著)
私はとうに視察するつもりであったが、政府部内に私の視察に反対する者があるので思うにまかせず、
荏苒
(
じんぜん
)
今日に到った。
渡良瀬川
(新字新仮名)
/
大鹿卓
(著)
由来弘前藩には悪習慣がある。それは事あるごとに、藩論が在府党と在国党とに
岐
(
わか
)
れて、
荏苒
(
じんぜん
)
決せざることである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
この冀望たる、余が年来の志望にして、
毎
(
つね
)
に用意せし所なりと
雖
(
いえ
)
ども、その事の大にして
且
(
か
)
つ
難
(
かた
)
きや、未だこれを全うするの歩を始むるを得ず、
荏苒
(
じんぜん
)
今日に至れり。
祝東京専門学校之開校
(新字新仮名)
/
小野梓
(著)
▼ もっと見る
帰朝以来、
始
(
はじめ
)
予は彼女を見るの
己
(
おのれ
)
の為に忍びず、後は彼女を見るの彼女の為に忍びずして、遂に
荏苒
(
じんぜん
)
今日に及べり。明子の
明眸
(
めいぼう
)
、猶六年以前の如くなる可きや否や。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
あたら非凡な構想を胸に抱きながら、
荏苒
(
じんぜん
)
として日を送り、
怏々
(
おうおう
)
として楽しまなかったのであるが、遂に一日あるきっかけから、日頃の
鬱憤
(
うっぷん
)
を晴らすことが出来たのである。
メフィスト
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
その
癖
(
くせ
)
彼の性質として、兄夫婦のごとく、
荏苒
(
じんぜん
)
の境に落ちついてはいられなかったのである。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
忙裏
荏苒
(
じんぜん
)
今日に至り、いまだ一回もその結果を世間に報告せざりしをもって、四方より妖怪事実を寄送せられたる諸氏は、これを督責してやまず。余、実に
赧然
(
たんぜん
)
たらざるを得ず。
妖怪学講義:02 緒言
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
しかも最早一日も
荏苒
(
じんぜん
)
していられない土壇場に押しつめられたような時代であった。
美の日本的源泉
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
『唐代叢書』五冊に収めた『開元天宝遺事』に、〈
楊国忠
(
ようこくちゅう
)
出でて江浙に使し、その妻思念至って深し、
荏苒
(
じんぜん
)
疾くなり、たちまち昼夢国忠と○、因って孕むあり、後に男を生み
朏
(
ひ
)
と名づく
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
しばしば国境監視隊員の間に発砲流血の惨事を
惹起
(
じゃっき
)
しつつ、
荏苒
(
じんぜん
)
今日に至ったものであったが、一九三四年突然コンゴー総督府側よりの強硬なる提議があって、葡領アンゴラ側またこれに応じ
令嬢エミーラの日記
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
何らなすことなく
荏苒
(
じんぜん
)
と日を送り、島民に対しては不満を植えつけ、築港工事の怠業を煽動し、さらに、レナ三角洲の運河
開鑿
(
かいさく
)
工事を妨害するなど、広汎な反革命陰謀を遂行したのであります。
地底獣国
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
もとより彼は諾いて、生憎その日は夜になると猛烈な豪雨になつたけれども、
荏苒
(
じんぜん
)
時を空費するほど此の際危険なことはないから、十時すぎ、全病院の熟睡を待つて、自分等は豪雨の中へ走りでた。
盗まれた手紙の話
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
このまま
荏苒
(
じんぜん
)
、時を過ごしていたなら、王妃は死んでしまいます。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
五百の眼病が
荏苒
(
じんぜん
)
として
治
(
ち
)
せぬので、矢島周禎の外に安藤某を
延
(
ひ
)
いて療せしめ、
数月
(
すうげつ
)
にして治することを得た。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
其癖
(
そのくせ
)
彼
(
かれ
)
の
性質
(
せいしつ
)
として、
兄夫婦
(
あにふうふ
)
の
如
(
ごと
)
く、
荏苒
(
じんぜん
)
の
境
(
さかひ
)
に
落付
(
おちつ
)
いてはゐられなかつたのである。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし総代たちは、洪水の余毒のなかに妻子を残して上京しているのだから、
荏苒
(
じんぜん
)
と日を送っていることは許されなかった。家族から手紙で飢餓を訴えられている者さえ少くなかった。
渡良瀬川
(新字新仮名)
/
大鹿卓
(著)
其一は榛軒の妹長の病で、榛軒は「治療を清川に託せよ」と云つてゐる。長が
荏苒
(
じんぜん
)
として
愈
(
い
)
えなかつたことと、榛軒が清川玄道の技倆に信頼してゐたこととが知られる。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
荏
漢検準1級
部首:⾋
9画
苒
漢検準1級
部首:⾋
8画
“荏”で始まる語句
荏原
荏原郡
荏薇
荏土
荏柄
荏
荏野
荏平
荏油
荏名津