茶代ちやだい)” の例文
彌次郎兵衞やじろべゑといふ小田原通をだはらつう、アイお茶代ちやだいいたよ、とヅイとるのに、たび早立はやだちとあつて午前六時ごぜんろくじ搖起ゆりおこされたねむでついてく。
城の石垣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わづかの茶代ちやだいらるゝものならず、此園このゑんはそもいかにしてだれが開きしぞ。
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
持來りしかば半四郎イヤ釣はいらぬ夜中にさわがした茶代ちやだい取置とりおくべしといひすて夫より盜人に向ひ汝よく聞け此程より彼是と二兩ばかりは遣ひしならんが何商賣なにしやうばいにてもまう而已のみあるものでなし時々見込違みこみちがひにてそんもすることありれば今度から能々人の目利めきゝ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
まだお茶代ちやだい差上さしあげないのに、相濟あひすまない、きよらかな菓子器くわしきなかは、ほこりのかゝらぬ蒸菓子むしぐわしであつた。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ところで、一せんたりとも茶代ちやだいいてなんぞ、やす餘裕よゆうかつたわたしですが、……うやつて賣藥ばいやく行商ぎやうしやう歩行あるきます時分じぶんは、兩親りやうしんへせめてもの供養くやうのため、とおもつて
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)