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臆斷
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おくだん
宗助は
此臆斷を
許すべき
餘地が、
安井と
御米の
間に
充分存在し
得るだらう
位に
考へて、
寐ながら
可笑しく
思つた。
しかも
其臆斷に、
腹の
中で
彽徊する
事の
馬鹿々々しいのに
氣が
付いて、
消し
忘れた
洋燈を
漸くふつと
吹き
消した。
それのみか
床に
入つてからは、
妹だと
云つて
紹介された
御米が、
果して
本當の
妹であらうかと
考へ
始めた。
安井に
問ひ
詰めない
限り、
此疑の
解決は
容易でなかつたけれども、
臆斷はすぐ
付いた。