縫目ぬひめ)” の例文
あるじの君よく聞きわけて給へ。我もしあやしき物ならば、此の二二六しげきわたりさへあるに、二二七かうのどかなるひるをいかにせん。二二八きぬ縫目ぬひめあり、日にむかへば影あり。
水船から這ひ上がつて、半身ぐしよ濡れのまゝ縛られたのでせう、腰から下は生濕なまじめりのまゝ、折目も縫目ぬひめも崩れて、むしろの上にしよんぼり坐つたお蔦は、妙に平次の感傷をそゝります。
山家やまが村里むらざと薄紅うすくれなゐ蕎麥そばきりあはしげれるなかに、うづらけば山鳩やまばとこだまする。掛稻かけいねあたゝかう、かぶらはや初霜はつしもけて、細流せゝらぎまた杜若かきつばたひるつきわたかりは、また戀衣こひぎぬ縫目ぬひめにこそ。
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
みづ金銀きんぎん縫目ぬひめである。川中島かはなかじまさへはるかおもふ。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)