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紀昌
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きしやう
飛衞は
昔の
善く
射るものなり。
同じ
時紀昌といふもの、
飛衞に
請うて
射を
學ばんとす。
教て
曰く、
爾先瞬きせざることを
學んで
然る
後に
可言射。
紀昌こゝに
於て、
家に
歸りて、
其の
妻が
機織る
下に
仰けに
臥して、
眼を
睜いて
蝗の
如き
梭を
承く。
二年の
後、
錐末眥に
達すと
雖も
瞬かざるに
至る。
往いて
以て
飛衞に
告ぐ、
願くは
射を
學ぶを
得ん。