立話たちばなし)” の例文
島本しまもとは、ぼたんのはち老人ろうじんのところへつてきて、にわ老人ろうじん立話たちばなしをしたというのですから、そのときに、金魚きんぎょたはずだとおもつたからです。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
と、黄昏たそがれ出會頭であひがしらに、黒板塀くろいたべい書割かきわりまへで、立話たちばなしはなしかけたが、こゝまで饒舌しやべると、わたしかほて、へん顏色かほつきをして
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
与右衛門さんは評判の長話家ながばなしやである。鍬を肩にして野ら仕事の出がけに鉢巻とって「今日こんにちは」の挨拶あいさつからはじめて、三十分一時間の立話たちばなしは、珍らしくもない。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
今三人の男が立話たちばなしをしている場所は、地上から二十五メートルも離れた空間だ。足場あしばがわりに鉄骨のはりの上に懸け渡しただけの何枚かの板の上に立っているのだった。
秋空晴れて (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
主人夫婦と博士との立話たちばなしが尽きない内に午後七時の夕飯ゆふめしの時が来た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
となり同士どうしだから、時々ときどきくちをききなかで、ことに一昨日おとといは、わたし丹精たんせいしたぼたんのはないたものですから、それを一鉢ひとはちわけてつてつてやり、にわでちよつとのうち、立話たちばなしをしたくらいです。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)