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空際
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くうさい
ふりがな文庫
“
空際
(
くうさい
)” の例文
湖水はまだ遠く波を見せて、雪の峰は微に
空際
(
くうさい
)
に聳えてゐた。日は次第に暖かく、東海道の松並木は砂路の上へ黒く影を投げてゐた。
伊良湖の旅
(新字旧仮名)
/
吉江喬松
(著)
ひらめき発する金色な眼花の光彩は、あだかも
空際
(
くうさい
)
を縫って通る火花のように、また彼の前に入り乱れた。彼は何ものかを待ち受けるような態度をとって震えた。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
鬼界
(
きかい
)
が島の海岸。
荒涼
(
こうりょう
)
とした
砂浜
(
すなはま
)
。ところどころに
芦荻
(
ろてき
)
など
乏
(
とぼ
)
しく
生
(
お
)
ゆ。向こうは
渺茫
(
びょうぼう
)
たる
薩摩潟
(
さつまがた
)
。左手はるかに
峡湾
(
きょうわん
)
をへだてて
空際
(
くうさい
)
に
硫黄
(
いおう
)
が
嶽
(
たけ
)
そびゆ。
頂
(
いただき
)
より煙をふく。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
天気のよい日、
空際
(
くうさい
)
遥かに真白な雲が
刷毛
(
はけ
)
ではいたようにあるいは細かい鱗のように棚引いている事がある、あの雲は普通の低い雲とはちがって皆雪片から出来ているという。
雪の話
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
見ることを得る外部は、見ることを得ざる内部を語り難し。盲目なる世眼を盲目なる儘に
睨
(
にら
)
ましめて、
真贄
(
しんし
)
なる霊剣を
空際
(
くうさい
)
に撃つ
雄士
(
ますらを
)
は、人間が感謝を払はずして恩沢を
蒙
(
かう
)
むる神の如し。
人生に相渉るとは何の謂ぞ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
▼ もっと見る
毎日
(
まいにち
)
のやうに
西
(
にし
)
から
埃
(
ほこり
)
を
捲
(
ま
)
いて
來
(
く
)
る
疾風
(
しつぷう
)
がどうかするとはたと
止
(
とま
)
つて、
空際
(
くうさい
)
にはふわ/\とした
綿
(
わた
)
のやうな
白
(
しろ
)
い
雲
(
くも
)
がほつかりと
暖
(
あたゝ
)
かい
日光
(
につくわう
)
を
浴
(
あ
)
びようとして
僅
(
わづか
)
に
立
(
た
)
ち
騰
(
のぼ
)
つたといふやうに
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
空
常用漢字
小1
部首:⽳
8画
際
常用漢字
小5
部首:⾩
14画
“空”で始まる語句
空
空地
空虚
空想
空洞
空腹
空家
空気
空嘯
空手