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私怨
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しえん
ふりがな文庫
“
私怨
(
しえん
)” の例文
「いや、いや、
私怨
(
しえん
)
ではありません。大きな公憤です。義憤です。万民の呪いと共に憂国の怒りをもって、彼を憎み止まぬ一人です」
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やつらは
私怨
(
しえん
)
でわたしに復讐しようとしてるんです。それはやつらが馬鹿だものだから、ちゃんと自分で白状してますよ……さあ、ちょっとごめんなさい!
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
御狩場は戦場と同様である、殿の御馬前で
私怨
(
しえん
)
の争いなど起こせば軍律干犯になる、どんなに堪忍ならぬことがあっても、御狩場では断じて事を起こしてはならない。
四日のあやめ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
また、なにかその家あるいはその持ち主に遺恨、
私怨
(
しえん
)
あるために、ことさらに作為して化け物屋敷などと言い触らすことがある。これはいわゆる偽怪と申すものじゃ。
迷信解
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
大袈裟
(
おおげさ
)
な言いかたをすれば、私はいつでも、「人間歴史の実相」を、天に報告しているのだ。
私怨
(
しえん
)
では無いのだ。けれども、そう言うとまた、人は笑って私を信じない。
作家の像
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
間接的な法律の力にたよる
外
(
ほか
)
は、
私怨
(
しえん
)
をはらす方法が、絶対になくなってしまったのだからね。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
私裁のもっともはなはだしくして、
政
(
まつりごと
)
を害するのもっとも大なるものは暗殺なり。古来暗殺の事跡を見るに、あるいは
私怨
(
しえん
)
のためにする者あり、あるいは銭を奪わんがためにする者あり。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
卑属親
(
ひぞくしん
)
の敵——例えば子の敵、弟の敵などを討つのは、武士としては
悉
(
ことごと
)
く恥じたもので、どの藩もそんなものには決して助力も、便宜も与えないばかりでなく、それは
私怨
(
しえん
)
として取扱われ
銭形平次捕物控:114 遺書の罪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
儒者
(
じゅしゃ
)
と違って、先王の価値にも歴史家的な割引をすることを知っていた彼は、後王たる武帝の評価の上にも、
私怨
(
しえん
)
のために狂いを来たさせることはなかった。なんといっても武帝は大君主である。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
両人は
私怨
(
しえん
)
を
挟
(
さしはさ
)
み、
果合
(
はたしあ
)
いを約したという風聞だ、その虚実は今は問わぬが、只今の御家の
体
(
てい
)
を拝したら、それどころではあるまい、くだらぬ騒ぎをして不忠を働くな、それよりは主君の御憤りを
討たせてやらぬ敵討
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
だが、後白河法皇も、新大納言の
私怨
(
しえん
)
にひとしい
企
(
たく
)
らみにお心が傾いているというのは、彼として、自身以上の
危惧
(
きぐ
)
であった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
君は僕に何か
私怨
(
しえん
)
でもあるのですか。僕が解決した事件を、なぜぶち
毀
(
こわ
)
そうとするのです。しかし、お気の毒だが、君の云い草は支離滅裂、まるで気違いのたわごとじゃないか。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
やったら名のって出なければならない、
私怨
(
しえん
)
だと云って自首して出れば、罪はその一人に限られるし、仙台も干渉することはできないだろう、おれはこんな不具になってほかの役には立たないが、この役なら間違いなくやってみせる、これはおれの役だ
失蝶記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
信西入道にたいし、ふかき
私怨
(
しえん
)
をもち、公憤と私的感情が一つになって「いつかは」と、時をうかがっていたものでした。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一つ 親王の
御罰
(
ぎょばつ
)
は、ひとえに宮の
驕
(
おご
)
りをこらす
聖衷
(
せいちゅう
)
に存するを、
私怨
(
しえん
)
をふくんで、これを
囹圄
(
れいご
)
に
幽
(
ゆう
)
す。罪の七。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いやしくも、成政は、人でおざれば、犬との
交際
(
つきあい
)
には、事ごとに、
蔑視
(
べっし
)
をくれておるにはおるが——このたび徳川どのへ申し入れた
一儀
(
いちぎ
)
は決して
私怨
(
しえん
)
などではない、公憤でござる
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だが、そなたはも早や、
元服
(
げんぷく
)
の若者である。一
人
(
にん
)
前
(
まえ
)
の
武士
(
もののふ
)
となるべきだ。いつまで小さな
私怨
(
しえん
)
にとらわれているばかりが
真
(
まこと
)
の
武士
(
もののふ
)
でもなかろう。
眼
(
まなこ
)
をひろい世の中にみひらいてたもれ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私
常用漢字
小6
部首:⽲
7画
怨
常用漢字
中学
部首:⼼
9画
“私”で始まる語句
私
私語
私共
私等
私達
私事
私刑
私窩子
私淑
私娼