くる)” の例文
ブンと風をきり、五十メエトルも海にむかって、突き刺さって行く槍の穂先ほさきが、波にちるとき、キラキラッと陽にくるめくのが、素晴すばらしい。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
【輝】光輝のひときは強くなりてダンテの目をくるめかせしは(額を壓す)天使の光日光に加はりたればなり
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
呼吸いきめて、なほすゞのやうなひとみこらせば、薄暗うすぐら行燈あんどうほかかべふすま天井てんじやうくらがりでないものはなく、ゆきくるめいたにはひとしほで、ほのかにしろいはわれとわが、おもかげほゝあたり
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
貞之助は彼等のあとにっ着きながら、浮かび上って宙ぶらりんになった線路の上を、枕木から枕木へ飛び越えつつ辛うじて渡り切ったが、下には眼もくるめく速さで激流が流れていた。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
うんくるめくわがにも由緒よしありげなる謎の花。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
絶えずくるめく白楊やまならし、遂に疲れて
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)