真逆まっさか)” の例文
旧字:眞逆
わたくしは、再び暗黒の無限地獄むげんじごくへ、真逆まっさかさまに墜落していく。一体どうしたことであろうか。人間の身体が、全然見えなくなるなんて……。
第四次元の男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
がんりきは平手でピシャリと横面よこづらなぐっておいて、足を飛ばして腹のところを蹴ると、これも真逆まっさかさまに転げ落ちる。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
真逆まっさかさまになっておちる上から側にった石をごろ/\、あの石で頭を打破ぶちわったにちげえねえが、彼奴は悪党のばちだ。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
この化物と、矢庭に右手めてに持ったる提灯を投げ捨てて、小僧の襟髪掴んで曳とばかりに投出すと、かたえのドンドンの中へ真逆まっさかさまに転げ墜ちて、ザンブと響く水音
河童小僧 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そして、いわの上から真逆まっさかさまに、むくむくとしてるくものなかをめがけて、力一ぱいにびおりました。
強い賢い王様の話 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
忽ち真逆まっさかさに御堂の下は無間地獄の釜の上だぞ! 恐しかったら、一刻も早く出て失せろ
放浪の宿 (新字新仮名) / 里村欣三(著)
泥々に酔って二階へ押上って、つい蹌踉よろけなりに梯子段はしごだんの欄干へつかまると、ぐらぐらします。屋台根こそぎ波を打って、下土間へ真逆まっさかに落ちようとしました……と云ったうちで。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
むちを振り上げて丹後守を打とうとした時に、何のはずみか真逆まっさかさまに鞍壺くらつぼからころげ落ちて、馬は棹立さおだちになった。
の御総領の若様が五歳いつつになった時、ある日アノ窓のそばで遊んでいるうち、どうした機会はずみの窓の口から真逆まっさかさまに転げちて、敷石でくびの骨を強くったからたまりません
画工と幽霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
足掛りの無い処を狙いすまして新吉が腰にしたる小刀しょうとうを引抜き、力一ぱいにプツリと藤蔓ふじづる蔦蔓つたかつらを切ると、ズル/\ズーッと真逆まっさかさまに落ちましたが、うして松柏の根方は張っているし
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お藤は逃げるも真暗まっくらがり、思わず崖を蹈外ふみはずしてガラ/″\/″\と五六丈もある山田川の渦巻立った谷川へ、のお藤は真逆まっさかさまに落ちましたが、これは何様どんな者でも身体が微塵みじんに砕けます。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
欺いて連れ出しましたお藤と云うの婦人を、皀莢滝の谷間たにあいへ追込みましたので、お藤は勝手は知らず、足を蹈外ふみはずして真逆まっさかさまに落ちましたが、御案内の通りの折田の谷は余程深うございまして
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)