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猪牙
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ちよき
ふりがな文庫
“
猪牙
(
ちよき
)” の例文
印南は嘗て蘭軒に
猪牙
(
ちよき
)
舟の
対
(
たい
)
を求められて、
直
(
たゞち
)
に蛇目傘と答へたと蘭軒雑記に見えてゐるから、必ずや詩をも善くしたことであらう。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
小さな
猪牙
(
ちよき
)
船に
行燈
(
あんどん
)
をのせたうろうろ船が、こゝぞとばかり釘付けになり合つた見物人の船々の間を敏捷に漕ぎ廻つて、あきなひする。
花火の夢
(新字旧仮名)
/
木村荘八
(著)
小舟が兩國橋に近づくと、橋の上の夜の人通りもあり、それに吉原へ急ぐお
店
(
たな
)
者などが、
猪牙
(
ちよき
)
を急がせて、引つきりなしに水の上を通るのです。
銭形平次捕物控:218 心中崩れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
浮いた調子は
猪牙
(
ちよき
)
船に乗つた心持がある。それでも
何処
(
どこ
)
か落ち付いてゐる。剣呑でない。
苦
(
にが
)
つた所、
渋
(
しぶ
)
つた所、毒々しい所は無論ない。三四郎は原口さんらしい画だと思つた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
その妻は見るも
厭
(
いとはし
)
き夫の
傍
(
そば
)
に在る苦を片時も軽くせんとて、彼の
繁
(
しげ
)
き
外出
(
そとで
)
を
見赦
(
みゆる
)
して、
十度
(
とたび
)
に
一度
(
ひとたび
)
も色を
作
(
な
)
さざるを
風引
(
かぜひ
)
かぬやうに召しませ
猪牙
(
ちよき
)
とやらの
難有
(
ありがた
)
き賢女の志とも
戴
(
いただ
)
き喜びて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
地維
(
ちい
)
かくるかと思はるゝ笑ひ聲のどよめき、中之町の通りは俄かに方角の替りしやうに思はれて、
角町
(
すみちやう
)
京町
(
きやうまち
)
處々のはね橋より、さつさ押せ/\と
猪牙
(
ちよき
)
がゝつた言葉に人波を分くる群もあり
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
向う河岸を山谷堀に通ふ
猪牙
(
ちよき
)
の音の繼續したのも暫し、やがて向島の土手は
太古
(
たいこ
)
のやうな
靜寂
(
せいじやく
)
に更けて行きます。
銭形平次捕物控:002 振袖源太
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
天柱くだけ
地維
(
ちい
)
かくるかと思はるる笑ひ声のどよめき、
中之町
(
なかのてう
)
の通りは
俄
(
にわか
)
に方角の替りしやうに思はれて、
角町
(
すみてう
)
京町
(
きようまち
)
処々
(
ところところ
)
のはね橋より、さつさ押せ押せと
猪牙
(
ちよき
)
がかつた言葉に人波を分くる群もあり
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
亥刻
(
よつ
)
過ぎになると、水の面もさすがに宵の賑はひはありませんが、それでも
絃歌
(
げんか
)
の響や
猪牙
(
ちよき
)
を
漕
(
こ
)
がせる水音が、人の氣をそゝるやうに斷續して聽えるのでした。
銭形平次捕物控:183 盗まれた十手
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
天柱
(
てんちう
)
くだけ
地維
(
ちい
)
かくるかと
思
(
おも
)
はるゝ
笑
(
わら
)
ひ
聲
(
こゑ
)
のどよめき、
中之町
(
なかのちやう
)
の
通
(
とほ
)
りは
俄
(
にわか
)
に
方角
(
ほうがく
)
の
替
(
かは
)
りしやうに
思
(
おも
)
はれて、
角町
(
すみちやう
)
京町
(
きやうまち
)
處々
(
ところ/″\
)
のはね
橋
(
ばし
)
より、さつさ
押
(
お
)
せ/\と
猪牙
(
ちよき
)
がゝつた
言葉
(
ことば
)
に
人波
(
ひとなみ
)
を
分
(
わ
)
くる
群
(
むれ
)
もあり
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
一度あることは二度あると見て、手代の源七に頼んで置いたのだ。
三圍
(
みめぐり
)
から柳橋まで
豫
(
かね
)
て用意した
猪牙
(
ちよき
)
で漕がせ、柳原から一氣に驅けて來ると、俺の家まで四半刻(三十分)で來られるよ。今度は曲者を
銭形平次捕物控:177 生き葬ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
猪
漢検準1級
部首:⽝
11画
牙
常用漢字
中学
部首:⽛
4画
“猪牙”で始まる語句
猪牙舟
猪牙船