おき)” の例文
そのグローマン風に分けた長い銀色をした頭髪かみのけの下には、狂暴な光に燃えて紅いおき凝然じいっみつめている二つの眼があった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
やぶれた草葺くさぶきいへをゆさぶつて西風にしかぜがごうつとちつけてときには火鉢ひばちおきはまだしろはひかはかぶつてあたゝかゝつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「うむ、おきはもちろん、場合によっては、家も衣も、進ぜようがのう。したが女、そちはどこからまいったのじゃ」
紅毛傾城 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
何物なにものをもはらはねばむまいとする疾風しつぷうは、あかおきつゝしろはひ寸時すんじ猶豫いうよをもあたへないでまくつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
卯平うへいこし疼痛いたみなやまされて、餘計よけいにかさ/\とからびてこはばつてうごかしがたくなるとかれは一くわいおきもない火鉢ひばち枕元まくらもといて凝然ぢつ蒲團ふとんかぶつたまゝである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「なに、奇異ふしぎな童謡を⁉」といったんは吃驚びっくりして、煖炉のおきから法水の顔に視線を跳ね上げたが
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
そこで私は、まったくあわてふためいて、手早くおき蹴散けちらしながら、取りだした二冊の書物があった。ああ、すんでのことに私は、貴重な資料を焼き捨ててしまうところだった。
紅毛傾城 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
とそれから煖炉ストーブの前で、法水は紅いおきに手をかざしながら続けた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)