激越げきえつ)” の例文
ぺん宣言書せんげんしよ==其は頭から尻尾しつぽまで、爆發ばくはつした感情の表彰へうしやうで、激越げきえつきはめ、所謂阿父のよこつらたゝき付けた意味のものであツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
中佐の言葉の調子がどんなに激越げきえつになろうと、佩剣のさやがどんな騒音そうおんをたてようと、そのまぶたは、ぴくりとも動かなかった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
一八郎は激越げきえつな声で叱りつけた。そして思わず側へ仆れた妹を、抱き寄せようとしたけれど、両手の自由はきかないのである。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
半之丞の口調は激越げきえつでした。言い知れぬ忿怒ふんぬが、サッとその秀麗な顔を染めるのでした。
日頃、太ッ腹な氏としては、めずらしく、話すのもけがらわしいといった激越げきえつぶりでした。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
「フム、それぢやんだな、お前はおれが此の家を陰氣にしてゐるといふんだね。」と冷靜にツて、さて急に激越げきえつした語調となる。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
在府組の激越げきえつな気勢を、遠くから眺めている内蔵助は、その火があぶなくて、って措けない危惧きぐを感じだしたのである。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
九郎兵衛の眼でも、いつぞやは激越げきえつな議論を吐いた者で、きょうは、醒めたように沈黙している顔を、幾つも見出した。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かれにしては、これは稀有けうなほど、激越げきえつなことばであった。民部には、またじゅうぶんな敗数のが見えているか
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それも老公から、あまり激越げきえつはやめいと叱られて、歌わないことになったが、何かにつけ、幕府へ気がねをつかうらしい老公が、彼らは歯がゆくてならなかった。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
激越げきえつな若侍たちの言語は、あたりの老人や、黙りこんでいる者たちを喝殺かっさつした。それらの一部の血気者たちには、もう内蔵助や九郎兵衛の存在すら見えなかった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
光安入道は、一言、激越げきえつに叱ると、子とおいが見ている前で、短刀で自分の喉を横に掻き切ってたおれた。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
秀吉の姿の見える中軍のあたりは、いくさ奉行、旗奉行たちの、叱咤の声が高かった。激越げきえつなるかいかねのひびき、また、押太鼓の音が、鼕々とうとうなみとなって、先鑓さきやりを励ました。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まような、石見守いわみのかみッ」と、一火いっか激越げきえつ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)