トップ
>
浮藻
>
うきも
ふりがな文庫
“
浮藻
(
うきも
)” の例文
それこそ宝物のように大事にしている。これが、僕の、最後の、たのみの綱だ。この思想にさえ見放されたら、僕は
浮藻
(
うきも
)
だ。奴隷だ。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
この頃になって
浮藻
(
うきも
)
ばかりか、
桂子
(
かつらこ
)
までが小次郎を恋し、そのため妹と争いさえし、今夜に至っては、あのありさまであった。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
痩
(
やせ
)
たりや/\、病気
揚句
(
あげく
)
を恋に
責
(
せめ
)
られ、
悲
(
かなしみ
)
に絞られて、此身細々と心
引立
(
ひきたた
)
ず、
浮藻
(
うきも
)
足をからむ
泥沼
(
どろぬま
)
の
深水
(
ふかみ
)
にはまり
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
しかし衣食のために活動しているのではない。娯楽のために活動している。
胡蝶
(
こちょう
)
の花に
戯
(
たわ
)
むるるがごとく、
浮藻
(
うきも
)
の
漣
(
さざなみ
)
に
靡
(
なび
)
くがごとく、実用以上の活動を示している。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
苛
(
さいな
)
まれしと見ゆる
方
(
かた
)
の髪は
浮藻
(
うきも
)
の如く乱れて、着たるコートは
雫
(
しづく
)
するばかり雨に
濡
(
ぬ
)
れたり。その人は起上り
様
(
さま
)
に男の顔を見て、
嬉
(
うれ
)
しや、
可懐
(
なつか
)
しやと心も
空
(
そら
)
なる
気色
(
けしき
)
。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
椿
(
つばき
)
が一輪、冷くて、燃えるようなのが、すっと浮いて来ると、……
浮藻
(
うきも
)
——藻がまた綺麗なのです。
半島一奇抄
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
かえって少しの光や音や動きやは、その静かさの強みを一層強く思わせる。湿り
気
(
け
)
を含んだランプの光の下に
浮藻
(
うきも
)
的生活のわれわれは食事にかかる。
佃煮
(
つくだに
)
と
煮豆
(
にまめ
)
と
漬菜
(
つけな
)
という
常式
(
じょうしき
)
である。
水籠
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
浮藻
(
うきも
)
こそひろごりわたれ
黝
(
くろ
)
ずみて
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
それは厳重に旅よそおいをした、飛天夜叉の
桂子
(
かつらこ
)
と
浮藻
(
うきも
)
と小次郎と
大蔵
(
おおくら
)
ヶ
谷
(
やつ
)
右衛門と、風見の袈裟太郎と
鶏娘
(
とりむすめ
)
と、そうして幽霊女とであった。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
浮藻
(
うきも
)
には添ふ水の泡。
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
そうして谷川の岩の上では、裸体の
浮藻
(
うきも
)
が髪をしぼりながら、情熱の歌をうたっていた。そうして水中では幽霊女と、
鶏娘
(
とりむすめ
)
とが水浴をつづけていた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“浮藻”の意味
《名詞》
水面に漂う藻。
(出典:Wiktionary)
浮
常用漢字
中学
部首:⽔
10画
藻
常用漢字
中学
部首:⾋
19画
“浮”で始まる語句
浮
浮世
浮標
浮々
浮雲
浮彫
浮気
浮木
浮腫
浮上