流言蜚語りゅうげんひご)” の例文
いたずらに臆測と流言蜚語りゅうげんひごが伝わって、あれだ、これだと影のみ徒らに大きくなったが、今朝に至ってそれが全くわかりました。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
第二には、しっかりした信念がなくて、流言蜚語りゅうげんひごに、うまうまと捲きこまれ秩序が立たなかったこと。この二つの原因が混乱の渦巻を作ってしまった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
諸所の火の手もだが、流言蜚語りゅうげんひごも飛び、また何よりの混乱をまねいたのは、指揮者の能登が見えないことだった。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おつや およしなさいよ、他人様ひとさまの前でそんな色消しなお噂は……。そういうのを流言蜚語りゅうげんひごとか云って、この頃は警察の取締とりしまりが非常にやかましいんですよ。
影:(一幕) (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
しかも斯くの如き流言蜚語りゅうげんひごが何とも知れず空恐しく矢張わたし達子供の心を動かした。
花火 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
人心噪然そうぜんとしてたださえ物議の多い世の様、あらぬ流言蜚語りゅうげんひごたくましうする者の尾に随いて脅迫ゆすり押込おしこみ家尻切やじりきり市井しせいを横行する今日このごろ、卍の富五郎の突留めにはいっそうの力を致すようにと
町はかなえのわくがごとく流言蜚語りゅうげんひごが起こった。不正工事の問題が起こりつつあり、大疑獄だいぎごくがここに開かれんとする矢先やさきに役場に放火をしたものがあるということは何人なんぴとといえども疑わずにいられない。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
高山の変事はここまで持ち越されて、湯の中での流言蜚語りゅうげんひごは、高山の町のちまたのそれよりもかまびすしいものがありました。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ウン、恐るべきは爆弾でもなく毒瓦斯でもない。最も恐ろしいのは、かるがるしく流言蜚語りゅうげんひご(根のないうわさ)を
空襲警報 (新字新仮名) / 海野十三(著)
大藩の権勢で近国に人を派し名だたる剣客者を狩り集め、当日の場合に依っては血の雨を降らす決戦の備えさえ出来たなどと流言蜚語りゅうげんひごもさかんに放たれた。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
極めて小隊をもって敵の内部に入りこみ、流言蜚語りゅうげんひごを放ったり、水之手や火之手をおびやかしたり、あらゆる手段で敵の神経を衝き、自信を掻きみだすのである。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この二つの事件が、外では広くもあらぬ高山の天地を震駭しんがいさせ、揣摩臆測しまおくそく流言蜚語りゅうげんひごといったようなものが満ち渡るのに、この屋敷の内部での動揺驚愕は如何いかん……
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
又非常時に際して種々の流言蜚語りゅうげんひごあらんも、国民は始終冷静に適宜てきぎの行動をとることによりて其の被害程度を縮少し、空襲おそるるに足らずとの自信を持ち得るものと確信する。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しかしながら流言蜚語りゅうげんひごは、認識や弁証の過不足については、なんらの責任を持たないのを常とする。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
だから一般の物騒はいうまでもないし、流言蜚語りゅうげんひごもさかんで、たとえば昨今では
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いたずらに、いへし合い、郊外へ逃げ出すこともなかったろうから、人命じんめいの犠牲も、ずっと少かったろう。流言蜚語りゅうげんひごに迷わされて浅間あさましい行動をする人も、真逆まさか、あれほど多くはなかったろう
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
たとえ流言蜚語りゅうげんひごにしてからが、そんなばかばかしい問題が起るべきはずのものではない。
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
咒咀じゅそは、うそだといい、いや、ほんとだといい——また、あれはある一派の人びとの策謀にちがいないなどと——それからの、まことしやかな流言蜚語りゅうげんひごは、人の心をくらくするばかりだった。
流言蜚語りゅうげんひごでもなんでも、それが単に流言蜚語として、自分の生活に直接影響をうけずにいる限りで聞いている分には、小説を読むようなもので、人はむしろ興味を持てばといって
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
流言蜚語りゅうげんひごの出所も、皆そこからだし、、強盗、橋杭はしぐいり倒しなど、眼に余るものがある。すべて信長の政治方針が招いた世相の悪化の如く見せかけるのが、彼らの狙いどころだった。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうして米友は、美濃、尾張から伊勢路へつづく平野の中を、南宮山をまともに見、養老、胆吹いぶきの山つづきを左右に見て、垂井の駅へ入りました。垂井の宿へ入ると、そこで流言蜚語りゅうげんひごを聞きました。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ははあ、垂井からこっちへの流言蜚語りゅうげんひごの火元はこれだな!
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)