水臭みずくさ)” の例文
露政府の厚遇国交際こっこうさいの談判は右の通りに水臭みずくさい次第であるが、使節に対するわたくしの待遇はうでない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
道行としては、こんな離れ離れの水臭みずくさい道行というものがあるべきものではありません。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
馬鹿ばかな。つまらない遠慮えんりょなんか、水臭みずくさいじゃないか。そんな遠慮えんりょはいらないから、いっとくれ。あたしでかなうことなら、どんなねがいでも、きっといてあげようから。……」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「姉さんは、水臭みずくさいひと」なにか外のことを考えているらしく、百合子が言いました。
赤耀館事件の真相 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「何うも宅の主人は水臭みずくさいのでございますのよ。都合次第で嘘をきますからね」
好人物 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
他の人はいざらず、が日本の婦人を妻とする理由は男女同権論とか財産権が如何どうとか、こういう水臭みずくさい関係より偕老かいろうちぎりを結べるにあらず、夫婦間の関係は法律以外に属するものが多い。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
主人にいて出ても、中途から気が変って道草をったりしては、水臭みずくさいやつだと主人におこられた。雄犬のくせでもあるが、よく家をあけた。せんぬし、先々の主、其外一飯いっぱんおんあるうちをも必たずねた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
そのこらぃなごと云ってごしゃぐような水臭みずくさぃおらだなぃな。だれだってきれいなものすぎさな。おれだって伊手いでででもいいあねこ見ればその話だてするさ。あのあんこだてぎだべ。好ぎだて云え。
十六日 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「しらを切り召さることよ。さりとは筑前どの、水臭みずくさかろ」
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いやねえ、あなたは水臭みずくさいわ」
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)