檄文げきぶん)” の例文
これは陰謀の檄文げきぶんと軍令状とを書いた裏へ、今年の正月八日から二月十五日までの間に、同盟者に記名調印させた連判状れんぱんじやうであつた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
些細ささいな感情から、彼は大きな決心へ移っていた。まもなく河北四州へわたって檄文げきぶんは発しられ、告ぐるに曹操の悪罪十箇条をあげ
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あるいは猛激粗暴なる檄文げきぶんを投じ、あるいは詭激きげき無謀なる挙動をなし、てんとしてみずから怪しまず、かえって志士の本色となすがごときはなんぞや。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
挙兵の檄文げきぶんは忽ちに加津佐、串山、小浜、千々岩ちぢわを始め、北は有江、堂崎、布津、深江、中木場の諸村に飛んだ。
島原の乱 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
ある時、陸軍系統といわれた成城学校の生徒の一隊が済生学舎を襲うということがあって、うちの書生などにも檄文げきぶんのようなものがまわって来たことがあった。
三筋町界隈 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
竜之助は読み下してみると、それは御親征について忠勇の士を募集するという檄文げきぶんで、誰が出したともわからないが、ただ「天忠組」とのみ署名してあります。
大塩平八郎が乱を起こしたのも、これらの状態を座視するに忍びなくなったからで、その檄文げきぶんの中には
花も刀も (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
ここにおいて檄文げきぶんを造り、これを飛ばして、国人中に同志を得、共に合力ごうりょくして、辮髪奴べんぱつどを国外に放逐ほうちくし、朝鮮をして純然たる独立国とならしむる時は、諸外国の見る処も
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
日蓮はここにおいて決するところあり、自ら進んで、積極的に十一通の檄文げきぶんを書いて、幕府の要路及び代表的宗教家に送って、正々堂々と、公庁が対決的討論をなさんことを申しいどんだ。
ここで文献的にそれを紹介すれば——次にかかげる檄文げきぶんは、その古風な文体から見ても分るように、関東大震災の前の年に行われた全国労働組合総連合協議会のときにバラまかれたもので
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
「ですから、恐れいるが、関羽どのの筆で、ひとつ檄文げきぶんを起草して下さい。それを配るのは、私の知っている村の青年にやらせますから」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一体吉見の訴状にはなんと云つてあつたか、それに添へてある檄文げきぶんにはどう書いてあるか、好く見て置かうと堀は考へて、書類をそでの中から出した。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
カヴル経国けいこく済世さいせいの建設的偉図も、あるいはマジニー一片の革命的檄文げきぶんかざるものあり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
それにも拘らず、到るところで買いかぶって歓迎することの風教に害ある点など、都合十罪を数えて、道庵を名古屋城下からい、これを城外に斬ってとらなければならないとの檄文げきぶんでした。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
青塚方面の戦闘からひき揚げて来た西軍の一支隊が、秀吉の本陣へ、道で拾ったという数枚の檄文げきぶん(宣伝ビラ)を、届けて出た。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さあ」と瀬田が声を掛けて一座をかへりみると、皆席を起つた。中で人夫の募集を受け合つてゐた柏岡かしはをか伝七と、檄文げきぶんを配る役になつてゐた上田とは屋敷を出て往つた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
あるいは壮烈鬼神を泣かしむる独立檄文げきぶんとなり、あるいは万峰飛舞天より来たる雄快の演説となり、これがために俄然として一の大平民国興り、これがために忽然として一の大貴族国滅び
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
で、すでに臣檄文げきぶんをとばして魏延ぎえんに擬兵の計をさずけ、益州南方の要所要所へ配備させてありますから、これまた、宸襟しんきんを悩まし給うには及びませぬ
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「もとよりのこと」と、裴緒はいしょは、汗みずくな肌着の下から、しとどに濡れた檄文げきぶんを出して手交し
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なぜならば近頃、司馬懿は雍涼ようりょう檄文げきぶんを飛ばして、孫礼の軍勢を剣閣に招いているふうが見える。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
曹操は、限りなく喜悦きえつして、さらばとばかり、直ちに、檄文げきぶんを認めて、城中へ矢文を射させた。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ちかく出師すいしせんとする柴田しばたがたの滝川征伐せいばつ、その兵を糾合きゅうごうする諸大名しょだいみょうへの檄文げきぶんであるらしい。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
関西の兵をうながす檄文げきぶんを起草し、都下出発の朝、勢揃いと称して、曹操の閲兵えっぺいを乞い、急に陣鉦じんがねを鳴らすを合図に、曹操を刺し殺してしまおうと、すべての手筈までしめし合わせた。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
袁紹えんしょうと戦ったとき、袁紹のために檄文げきぶんを作った陳琳ちんりんが、その文中に操をさして
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一方、にせ檄文げきぶんを作って、諸州の武門へ発送した。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
檄文げきぶんを作れ」
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)