検分けんぶん)” の例文
警視庁けいしちょう技師ぎしが、ふいに牛舎ぎゅうしゃ検分けんぶんにきた。いきなり牛舎のまえに車にのりこんできて、すこぶる権柄けんぺいに主人はいるかとどなった。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
警官が聞きこんで、その鞄を検分けんぶんに来た。彼は東京からの指令しれいおぼえていたので、早速さっそく「それらしきもの漂着す」と無電を打った。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「おう……天目山てんもくざんであいはてた、父の勝頼、また兄の太郎信勝のぶかつに、さても生写いきうつしである……。あのいくさのあとで検分けんぶんした生首なまくびうり二つじゃ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その間に貴子たかこさんが客間を検分けんぶんする。お母さんは髪をなぜつけたり着物を着かえたり大騒おおさわぎだ。いくらふいてもあせが流れた。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
主人しゅじんは、まゆをひそめて、子細しさいかね検分けんぶんしましたが、もうふるてつは、ぼろぼろになっていて、なんのやくにもたちそうでなく、まったく自分じぶんの、くたびれぞんわったことをりました。
ひすいを愛された妃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
検分けんぶんしたまえ。その上でキャバレーの出入口を番をしていた警官たちを早速さっそく、伝染病研究所へ入院させるんだ。いいかネ
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「おお木下様でしたか。主人長秀は、今し方まで、検分けんぶんに見えておいででしたが、はや今浜の御陣所へ帰られました」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「然うさ。その検分けんぶんも序にして来る」
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「何せい、仕方がない。どこか小高い所へ上がって、この群衆のかしらを一ツずつ検分けんぶんしているとしようか」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
では、余もこれから検分けんぶんのために出掛けよう。おいシモン。建艦けんかん委員を非常呼集ひじょうこしゅうして、試験場へくりだすようにそういえ。それから主力艦インディアナとマサチュセッツとを
ふたつのつづらの側へわかれて立ち、検分けんぶんの格でそのふたへ手をかけた。そして
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三木城へ入城して、あちこち検分けんぶんした日、秀吉は沁々しみじみいった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)