松源まつげん)” の例文
松源まつげん伊予紋いよもん申付まうしつけます、おや御両人様おふたりさんからお年玉としだま有難ありがたうございます、只今たゞいますぐに、わたし元日ぐわんじつからふく/\です事よ。としたりてく。
七福神詣 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「何をひがんでいるんだ。踊りを見に来て、そんなまずいつらをして歩く奴があるもんか。オイ周馬、今夜はおれがおごろうぜ。松源まつげんか、万辰まんたつか、淀屋よどやか」
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
当時入谷には「松源まつげん」、根岸に「塩原しほばら」、根津に「紫明館しめいくわん」、向島に「植半うゑはん」、秋葉に「有馬温泉」などいふ温泉宿があつて、芸妓をつれて泊りに行くものも尠くなかつた。
里の今昔 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
彼處あすこけると、廣小路ひろこうぢかど大時計おほどけいと、松源まつげん屋根飾やねかざり派手はでせて、またはじめる。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
卒業の宴会が松源まつげんという料理屋であった時、下谷したや一番といわれる美しい芸者の持って来てくれた橘飩きんとんを、その女の前でゆっくり食べていたというのがその頃の語り草となっていて
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
それから松源まつげん雁鍋がんなべのある広小路、狭いにぎやかな仲町なかちょうを通って、湯島天神の社内に這入はいって、陰気な臭橘寺からたちでらの角を曲がって帰る。しかし仲町を右へ折れて、無縁坂から帰ることもある。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
弁天から上野の辺が誠に綺麗に成りましたこと、それに松源まつげん鳥八十とりやそなどと云う料理茶屋も立派に普請が出来ましたね
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
当時入谷には「松源まつげん」、根岸に「塩原しおばら」、根津ねづに「紫明館しめいかん」、向島に「植半うえはん」、秋葉に「有馬温泉」などいう温泉宿があって、芸妓げいぎをつれて泊りに行くものもすくなくなかった。
里の今昔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
三「いえうじゃア無いんですが、方々へ種々いろんな会がありますと、ビラなんぞをあつらえられてるんでげすが、御飯ごはんを召上るてえなら是非此処じゃア松源まつげんさんでげしょう」
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)