末代まつだい)” の例文
「だつて、こんな池で助船たすけぶねでも呼んでたがい、飛んだお笑ひ草で末代まつだいまでの恥辱ぢやあないか。あれおしよ。」
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
まかしける妾々めかけてかけも同樣にて末代まつだいまでも家名のけがれ娘持身は殊更に婿むこむかへるか嫁にやるなさねば成ぬはうまれし日より知てを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
翌朝御託おわびに出て昨夜は誠に失礼つかまつりましたとべるけにも行かず、到頭とうとう末代まつだい御挨拶なしにすんで仕舞た事がある。是ればかりは生涯忘れることが出来ぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
それでも甲州武士こうしゅうぶしかと思えば情けなさに涙がこぼれる。いざ! このうえはいさぎよく自害して、せめて最期さいごを清うし、末代まつだい未練みれんの名を残さぬようにいたすがよい
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
誤ったとあっては、末代まつだいまでの恥辱になるわ。その方は一足先へ参れ。身どもは宿まで取って返そう。
或敵打の話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「宗方善五郎樣は五十を越した御浪人ですが、元は立派な御武家で御座います。御武家が死にやうもあらうに首をつて死んでは、お腰の物の手前末代まつだいまでの耻で御座います」
哀れは深からぬにはあらねども、平家の嫡流として未練のそしりは末代まつだいまでものがれ給はじ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
二十世紀の奇蹟今様文福茶釜いまようぶんぶくちゃがま——ではない文福釜ぶんぶくがま。……文福釜では弱い。そうだ文福茶釜二世あらわる。さあいらっしゃい。見料は見てからでいいよ、見ないは末代まつだいまでのはじだ。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
毒婦と盗人ぬすびとと人殺しと道行みちゆきとを仕組んだ黙阿弥劇は、丁度羅馬ロオマ末代まつだいの貴族が猛獣と人間の格闘を見て喜んだやうに、尋常平凡の事件には興味を感ずる事の出来なくなつた鎖国の文明人が
虫干 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
一ばん鹿島から遠いのは越後えちご頸城くびき地方の弥勒歌で、是だけは祝宴の席に歌われるとあって、神社の祭礼とは関係がないようだが、歌の章句にはやはり前に掲げた「世の中はまんご末代まつだい」があった。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
下し置れける是ひとへ住持ぢうぢ祐然いうねん發明はつめい頓才とんさいの一言に依て末代まつだい寺號じがうかゞやかせり且又見知人として出府せし甚左衞門善助の兩人へは越前守より目録もくろく其外の品々を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「宗方善五郎様は五十を越した御浪人ですが、元は立派な御武家でございます。御武家が死にようもあろうに首を吊って死んでは、お腰の物の手前末代まつだいまでの恥でございます」
世の中はまんご末代まつだい
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
征伐せいばつあられしも悉々こと/″\く此八幡宮の神力しんりきに因所なればじつに有難き御神おんかみなり然ば末代まつだいに至る迄此御神を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「それは面白からう、見ぬは末代まつだいの恥だ、直ぐ行くとしようか」
「それは面白かろう、見ぬは末代まつだいの恥だ、すぐ行くとしようか」