會堂くわいだう)” の例文
新字:会堂
カピ妻 はて、むすめよ、つぎ木曜日もくえうびあさはやう、あの風流みやびな、立派りっぱ若殿わかとののパリスどのが、セント・ピーターの會堂くわいだうで、めでたう其方そなた花嫁御はなよめごにおやるはずぢゃ。
彼女かのぢよはその方面はうめんに、これといふほど判然はつきりしたとゝのつた何物なにものつてゐなかつたからである。二人ふたり兎角とかくして會堂くわいだう腰掛べんちにもらず、寺院じゐんもんくゞらずにぎた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ヂュリ そのセント・ピーターの會堂くわいだうけて、いゝや、ピーターどのをも誓言ちかひにかけて、なんのそれがめでたからう! 嫁入よめいりはせぬわいの。なんといふ早急さっきふぢゃ。
しかもなほ名譽めいよぢゃとはおもひませぬ」はて、こゝな我儘わがまゝどの、うれしがったり名譽めいよがったりするひまに、その上等けっこう脚節すねふしでも調査しらべておきゃ、つぎ木曜日もくえうびにパリスと一しょに會堂くわいだうくために。