早立はやだち)” の例文
彌次郎兵衞やじろべゑといふ小田原通をだはらつう、アイお茶代ちやだいいたよ、とヅイとるのに、たび早立はやだちとあつて午前六時ごぜんろくじ搖起ゆりおこされたねむでついてく。
城の石垣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おらアな、昨夜ゆうべの内にお百度を済まして、うやら気がかれるから、今朝早立はやだちにして、十八里の道を急ぎ急いでもうちっと早くと思ったが、生憎あいにくの大雨で道も捗取はかどらず、到頭とうとう夜半よなかになっちまった
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
いくら早立はやだちといっても、まだ人影もない真夜半まよなか
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いたせしなり既に其御侍士そのおさふらひこうまでも行んと云るゝによりわたくしが右の駕籠屋かごやの來らざるうち此熊谷土手は名代の物騷ぶつさうなる所にてことに四里八丁もある場所ゆゑ必らず夜にいるに付今夜は當宿たうしゆくとまりてあすあさ早立はやだちになされよと御止め申居たる處へ駕籠舁かごかきめが這入はひり來り終にすゝめ込て引懸ひきかけゆきしなり其時貴方あなた樣が御出成れたなら惡漢わるものの五人や十人は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)