捕吏ほり)” の例文
心ここにあらざれば如何いかなる美味ものんどくだらず、今や捕吏ほりの来らんか、今や爆発のひびき聞えんと、三十分がほどを千日せんにちとも待ちびつ
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
そうして夫れは事が破れて、江戸は品川八ツ山下の御殿で、多くの捕吏ほり囲繞とりかこまれ、腹を掻っ切ったその時まで、彼の心を捉えたのである。
首頂戴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
老主玄鶯院が無言で捕吏ほりをにらみつけながら新太郎を寝かしていた奥座敷に、上へついた違い棚がある。これが通路だ。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「まあ、それも疑問があるとしておいてもだ、衛府の役人や、捕吏ほりが、教門のほうへは少しも手を廻していない様子ではないか、それはどうだろう」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
劉元鼎りゅうげんてい蔡州さいしゅうを治めているとき、新破しんぱ倉場そうじょうに狐があばれて困るので、劉は捕吏ほりをつかわして狐を生け捕らせ、毎日それを毬場まりばへ放して、犬にわせるのを楽しみとしていた。
嗅煙草は、最も強暴な仏蘭西フランスの犯罪者が胡椒を使用した様にこれを使用した。というのは、これを引つかんで捕吏ほりもしくは追跡者のつらにいきおいよくパッと投げつけるためにじゃ。
私が此の室へ忍び込んだのも、捕吏ほりを差し向ける丈の罪跡を得たいばかりの一念です。
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
捕吏ほりにひかれてめる男は
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
満谷剣之助が、金山寺屋の音松ほか二、三人の捕吏ほりと、あるじの壁辰をつれて、ドヤドヤと茶の間へ踏み込んで来た。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
この上はと、今までの秘密の裡に事件をつくろってしまおうとした方針を変えて、中務省なかつかさしょう捕吏ほりの手も借りて、洛内から近畿にいたるまで触れを出した。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
勿論、最初から湖畔の者に注意して、何か怪しい者を見たらばすぐに訴え出ろと申付けてはおいたのだが、別に二人の捕吏ほりを派出して、毎晩かの蘇小小の墓のあたりを警戒させることにした。
女侠伝 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「捨てない! ……捨てるものか! ……。オオ、そこへもう捕吏ほりらしい影がのぼって来るぞ。さらば——」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むらがる捕吏ほりを突破し、長駆一躍して、縁の源十郎へ殺到した刹那に!
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
いつも、鶉坂うずらざかの講義の席で、いうたとおりじゃ。いかなる難事件にぶつかろうが、捕吏ほりたるものは、事件に呑まれて、自分を失ってはならん。みずから、だめと、さじをなげたら、おしまいだ。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
えんは、あわててほかの部落へ行った。しかし、そこにも北京府ほっけいふ捕吏ほりが来てたむろしていた。ぞっとして、彼は粟も求めずもとの巣へ逃げ戻ったが、これが足のツキ初めとは知るよしもなかったのである。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひとたび捕吏ほりの手にかかれば重罪は知れきっている体なので
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、捕吏ほりの一人が
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)