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拂底
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ふつてい
それも
一つだが、
其の
當時は、
今も
大錢お
扱ひの
方はよく
御存じ、
諸國小貨のが
以てのほか
拂底で、
買ものに
難澁一方ならず。
これほどの
人他人に
取られて
成るまじとの
意氣ごみにて、
聟さま
拂底の
世の
中なればにや
華族の
姫君、
高等官の
令孃、
大商人の
持參金つきなど
彼れよ
是れよと申
込みの
口〻より
拂底な
蝋燭の、それも
細くて、
穴が
大きく、
心は
暗し、
數でもあればだけれども、
祕藏の
箱から……
出して
見た
覺えはないけれど、
寶石でも
取出すやうな
大切な、その
蝋燭の