押籠おしこめ)” の例文
ことによると仕置をしてしまったかもしれぬと云ったが、河野道円のことであろうか、河野父子三人は、料理人も共に、捕えられて押籠おしこめにされているという。
與へ干殺ほしころさんとこそたくみけれされ無慚むざんなるかな藤五郎は其身不行跡ふぎやうせきとは云ながらわづか三でふ座敷牢ざしきらう押籠おしこめられ炎暑えんしよの甚はだしきをもしのぎかね些々さゝたる庇間ひあはひの風を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おきまりの押籠おしこめから勘当、とど、面倒くせいやってわけで、諸国をふらついていたのが、七、八年目にぶらりとやって来て、あっしに見せたのが、諸国の人情風俗を、おどけに書いた稿本なんで。
田崎草雲とその子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いろいろの立木たちきよ、押籠おしこめになつた心よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
家中では私に過失があって罷免されたといううわさがあり、いまなおそう信じている者が多いのです、もっとも勘弁ならぬのは私が罪科を問われて押籠おしこめにされたと
見て平左衞門は差※さしづをなし藤五郎を押籠おしこめおきたるらうの中へ入れさせ番をつけてさしおきたり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「宮本の遺族は国許くにもと押籠おしこめ、畑の娘も弟が八歳になりましたら、国許のいずれかへ永預ながあずけということにしたらいかがと思います、もちろん評議のうえでなければわかりませんけれども」
嫡子ちやくしに致されしやと尋ねられければ主税之助夫等の儀はおほせに候へども藤五郎は其躬そのみ不行跡ふぎやうせきにして勿々なか/\異見いけんも聞入ず其上亂酒により一たび公儀かみの御苦勞にもかゝりし者に付押籠おしこめ相廢あひはいし候とこたへければ越前守殿其は一應聞えたれども何故に藤五郎の食物しよくもつ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
押籠おしこめちゅうなので、両者とも無腰であり、月代さかやきひげも伸びていた。それで、ぜんたいに憔悴しょうすいして見えたが、肩を張って端坐した姿勢や、きっと額をあげた顔つきには、昂然とした意気があらわれていた。