打遣うちや)” の例文
まあそんな手紙が来るだけですから、——そりゃあ金の事も云って来ますが、なに東京と蒙古だから打遣うちやっておけばそれまでです。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
れから又薩摩の方も陸を荒されて居ながらかえって行く船を追蒐おっかけて行くこともせず打遣うちやっておいたのみならず
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
だから、最初はじめッから、お前さんに棄てられると、わたいはどうなるか知れないッて、始終いっていたのにさ、打遣うちやってしまってさ、そして軽忽かるはずみなことをするなッて言ってくれたってわたいは知りません。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まあそんな手紙てがみだけですから、——そりあかねことつてますが、なに東京とうきやう蒙古もうこだから打遣うちやつてけば夫迄それまでです。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
とにかく兄やいもとの夫まで呼び寄せた私が、父の病気を打遣うちやって、東京へ行く訳には行かなかった。私は母と相談して、行かれないという返電を打つ事にした。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
代助はながら、自分の近き未来をうなるものだらうと考へた。うして打遣うちやつて置けば、是非共よめもらはなければならなくなる。よめはもう今迄いままで大分だいぶことわつてゐる。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
代助は平生から、此位に世のなか打遣うちやつてゐた。だから、非常な神経質であるにも拘はらず、不安の念に襲はれる事は少なかつた。さうして、自分でもそれを自覚してゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「貴方の仰しゃる所も、一理あるが、私にも私の考があるから、また打遣うちやって置いて下さい」
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
代助は平生から、この位に世の中を打遣うちやっていた。だから、非常な神経質であるにもかかわらず、不安の念に襲われる事は少なかった。そうして、自分でもそれを自覚していた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
こうして打遣うちやって置けば、是非共嫁をもらわなければならなくなる。嫁はもう今までに大分断っている。この上断れば、愛想を尽かされるか、本当に怒り出されるか、何方どっちかになるらしい。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
例月のものをげるにはうかとも思ひましたが、矢張り御いでにならないので、心配してゐます。御父さんは打遣うちやつて置けと仰います。兄さんは例の通り呑気で、困つたら其うちるだらう。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「さうさ。まあ其内そのうちなんとかつてるだらう。夫迄それまで打遣うちやつてかうよ」
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)