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手廣
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てびろ
聲きくよすがも
有らざりければ、
別亭に
澁茶すゝりながら
夫となき
物語、この
四隣はいづれも
閑靜にて、
手廣き
園生浦山しきものなり、
此隣りは
誰樣の
御別莊ぞ
柳屋は
土地で
老鋪だけれども、
手廣く
商をするのではなく、八九十
軒もあらう百
軒足らずの
此の
部落だけを
花主にして、
今代は
喜藏といふ
若い
亭主が、
自分で
賣りに
𢌞るばかりであるから
第一として人の
害に
成ぬ氣にても金子の
遣取致し
商賣も
手廣き事なれば如何なる所に
遺恨の
有間敷者にも非ず又其外にも
何ぞ手掛りは無きと云るゝに平吉ヘイ其
手掛りと申ては
別に御座らねども爰に
少々心當り是とても右樣の儀を