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悠
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ゆ
ふりがな文庫
“
悠
(
ゆ
)” の例文
私は程よく燃えているストーヴに暖められながら、いつの間にか氷雨が降っている硝子の外の景色を眺めながら
悠
(
ゆ
)
っくりフォークを動かしていた。
褐色の求道
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
広間の中央、床柱を背にして、
銀燭
(
ぎんしょく
)
の光を真向に浴びながら、どんすの
鏡蒲団
(
かがみぶとん
)
の上に、
悠
(
ゆ
)
ったりと坐り、心持
脇息
(
きょうそく
)
に身を
靠
(
もた
)
せているのは、坂田藤十郎であった。
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「さ、お姐ちやんはこちらへお上んなさいよ。今日は夕方まで
悠
(
ゆ
)
つくり遊んで行つてもいゝんでせう?」
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
って云ううちに、又一人、スパリスパリと煙草を吹かしながら、軽い、気取った足取りで階段を降りて来て、
悠
(
ゆ
)
っくり悠っくりと妾の傍に近づいた者が居るの……。
支那米の袋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
いうと、藤吉郎は、
陣草鞋
(
じんわらじ
)
を脱ぎすて、小六の腰かけていた縁先の
沓石
(
くつぬぎ
)
から、ずっと上がって、書院の
床
(
とこ
)
の間をうしろに、自分で上座を取って
悠
(
ゆ
)
ったりと坐りこんだ。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
「君とはいっぺん
悠
(
ゆ
)
っくり飲もうと思っていたんだ、今日はひとつ楽しくやろう」
陽気な客
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
距離の加減で、
悠
(
ゆ
)
ったりと落ちつきはらって、南の空を、のたくっている、それでも尖りに尖った山稜の鋭角からは、古い大伽藍の屋根の瓦が、一枚一枚
剥
(
め
)
くられては、落ちて砕けて
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
悠
(
ゆ
)
っくりさり気なく室の中央へ向って歩き出した。
一本の花
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「
悠
(
ゆ
)
っくりと、高麗村の者に
尾
(
つ
)
いて行って、あの二人の
素人
(
しろうと
)
仕事の手際を眺めていようじゃねえか」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「お気に入って結構です。きょうは
悠
(
ゆ
)
っくり
寛
(
くつろ
)
いで下さい。うちも同然の店ですから」
高原の太陽
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
おくみはそれに
悠
(
ゆ
)
つくり間に合ふやうに、暗い内から起きて御飯の拵へをした。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
葉陰を洩れた日の光で、
紫陽花
(
あじさい
)
の花弁を
簇
(
むら
)
がらしたような、小刻みな
漣
(
さざなみ
)
を作って、
悠
(
ゆ
)
ったりと静かにひろがるかとおもうと、一枚
硝子
(
ガラス
)
の透明になって、見る見る、いくつも亀甲紋に分裂して
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
お通さんも
悠
(
ゆ
)
っくり体をやすめて、黙ってそれから先はわしに
尾
(
つ
)
いておいで——という。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
立科
(
たてしな
)
山の、
悠
(
ゆ
)
ったりと緩やかな傾斜が、いかにも情緒的の柔らかさで、雲の中へ溶けている、それらの山々を浮かせて、白銀のような高層の雲が、あざやかな球体をして、幾重にも
累
(
かさ
)
なって
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
だれか
悠
(
ゆ
)
つくり、力を入れたものを画かしてくれないかな。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
他人事
(
ひとごと
)
のようである。一学は、友へ酒を
酌
(
つ
)
ぎ、自分の杯へも、
悠
(
ゆ
)
ったりと酌いで云う。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何かしら、その頃から後の彼女の胸には
悠
(
ゆ
)
ったりと、大きな安心がすわっていた。
日本名婦伝:太閤夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
オイお甲、ちょっと待ってくれ。おまえとここで落ちあったのは、二人ぎりでどこか静かな家で二、三日
悠
(
ゆ
)
っくりしようという考えじゃないか。……それを、皆様とは一体、誰と誰のことを
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、嘉兵衛は手に持つと、座敷の中ほどに、
悠
(
ゆ
)
ったり坐り直した。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『ああいい心地じゃ。ゆるりとやれ、
悠
(
ゆ
)
るりと』
濞かみ浪人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(いいえ、私は武蔵様に、少し二人きりで話したいことがあるのだから、城太さんは、夜が明けてから、なるべく
悠
(
ゆ
)
っくり五条大橋に後からお出で。——だいじょうぶ、きっと、城太さんが来るまでは、武蔵様とあそこで待っていますから)
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
悠
常用漢字
中学
部首:⼼
11画
“悠”を含む語句
悠然
悠々
悠揚
悠暢
悠長
御悠
悠悠
悠遠
悠久
悠々自適
大悠
悠閑
悠紀
悠乎
悠々閑々
悠容
悠遊
悠吉
悠々寛々
悠紀殿
...