当時そのころ)” の例文
旧字:當時
しかしながら、彼らの行ったところは、主としていわゆる「部落改善」でありました。もちろんこれは当時そのころにとって、もっとも必要な手段でありました。
融和促進 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
しか当時そのころでは是すら容易に出来ませんことで、先ずとゞこおりなくお目見えも済み、是から重役の宅を廻勤かいきんいたすことで、是等これらすべて渡邊織江の指図でございますが
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
自分は当時そのころ、かれを見るごとに言うべからざる痛ましさを感じた。かれは『過去』の亡魂である、それでもいい足りない。『封建時代』の化石である、それでもいい足りない。
まぼろし (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
前年さきのとし牧之ぼくし江戸に旅宿りよしゆくの頃、文墨ぶんぼく諸名家しよめいかえつして書画しよぐわひし時、さきの山東庵には交情まじはりあつくなりてしば/\とふらひしに、京山翁当時そのころはいまだ若年なりしが、ある時雪のはなしにつけて京山翁いへらく
詩仏しぶつ鵬斎ぼうさい詩文しぶんにてなぶりものにされたりといふことえたるが、もとより菊塢きくう世才せさいにはたけたれど学文がくもんはなし、詩仏しぶつ鵬斎ぼうさい蜀山しよくさん真顔まがほかげ春海はるみ当時そのころ聞人もんじん幇間半分たいこはんぶんなぶり者にせられしには相違さうゐなし
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
粂野美作守さまの御舎弟に紋之丞前次もんのじょうちかつぐさまと云うが有りまして、当時そのころ美作守さまは御病身ゆえ御控えに成って入らっしゃるが、ぜん殿さまの御秘蔵の若様でありましたから
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)