幼少ちいさい)” の例文
ハイありがとうござります、彼めが幼少ちいさいときはひどい虫持で苦労をさせられましたも大抵ではござりませぬ、ようやく中山の鬼子母神様の御利益ごりやくで満足には育ちましたが
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
貴方あなた何時いつにかくるしんだことでもあるのですか、くるしみとうことの理解りかいをもっておでですか、あるい失礼しつれいながら貴方あなたはお幼少ちいさい時分じぶん打擲ぶたれでもなされましたことがおありなのですか?
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
私は金沢の士族だが、少し仔細しさいがあって、幼少ちいさいころにうちは高岡へ引っ越したのだ。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ざれたる婢女をんな輕口かるくちおとしばなしして、おとき御褒賞ごほうびなにや、ひとものたまこと幼少ちいさいよりの蕩樂だうらくにて、これを父親てゝおや二もなくがりし、一トくちはゞ機嫌きげんかちのたちなりや
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そしてこの箱さえ持っていればどんな危難でも遁がれられると云って幼少ちいさい時から肌身放さず持たせられていたのでございますが、これをあなたに差し上げますからどうぞお助けくださいまし
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)