幸兵衛こうべえ)” の例文
小僧こぞう粗相そそう番頭ばんとう粗相そそう手前てまえから、どのようにもおわびはいたしましょうから、御勘弁ごかんべんねがえるものでございましたら、この幸兵衛こうべえ御免ごめんくださいまして。……
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
和「まア少しお待ちなさい、今のお方は浅草鳥越とりこえ龜甲屋きっこうや幸兵衛こうべえ様というてわしの一檀家じゃ、なか/\の御身代で、苦労人の上に万事贅沢にして居られるから、お近附になって置くがい」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
他の二人ふたりの庄屋——福島の幸兵衛こうべえ贄川にえがわの平助、この人たちも半蔵と一緒にひとまずその旅籠屋に落ちつくことを便宜とした。そこには木曾出身で世話好きな十一屋の隠居のような人があるからで。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
番頭ばんとう幸兵衛こうべえは、かべ荒塗あらぬりのように汚泥はねがっているまつろうすねを、しぶかおをしてじっと見守みまもった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
番頭ばんとう幸兵衛こうべえは、帳付ちょうづけふでして、あわてて暖簾口のれんぐちかおしたが、ひと徳太郎とくたろう姿すがたるとてっきり、途中とちゅう喧嘩けんかでもしてたものと、おもんでしまったのであろう。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)