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差向
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さしむ
ふりがな文庫
“
差向
(
さしむ
)” の例文
「お前なら
差向
(
さしむ
)
き食物の事を考えるだろうよ。大福餅の荒れ食いなんか人聞きが悪いから、金が出来ても、あれだけは
止
(
よ
)
すがいいぜ、八」
銭形平次捕物控:144 茶碗割り
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
何
(
なん
)
だ。
強盜
(
がうたう
)
だ、
情人
(
いろ
)
だ。」と
云
(
い
)
ひさま、ドンと
開
(
あ
)
けて、
衝
(
つ
)
と
入
(
はひ
)
つて、
屹
(
き
)
と
其
(
そ
)
の
短銃
(
ピストル
)
を
差向
(
さしむ
)
けて、
一目
(
ひとめ
)
見
(
み
)
るや、あ、と
叫
(
さけ
)
んで、
若旦那
(
わかだんな
)
は
思
(
おも
)
はず
退
(
すさ
)
つた。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
夫人は直ぐそれを広げて見ていたが、無言のままくるりと
差向
(
さしむ
)
けて、ある箇所を指で押え注意を与えた。
鉄の処女
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
それでは柳島の
私
(
わし
)
の別荘からは近い…就てはお目にかゝったのを幸い、
差向
(
さしむ
)
き客火鉢を二十に煙草盆を
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
自分の夫たるべき男を
他
(
ひと
)
に
奪
(
と
)
られて、
加之
(
おまけ
)
に自分が
斯
(
こ
)
んな
酷
(
ひど
)
い目に逢うとは、債権者が債務者から
執達吏
(
しったつり
)
を
差向
(
さしむ
)
けられたようなもので、余りに馬鹿馬鹿しい理屈である。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
心の底には他の無識無謀を冷笑すると共に、
故
(
こと
)
さらに
勉
(
つと
)
めてその言わざる所を言い、その好まざる所を行い、一切の言行を世論の反対に
差向
(
さしむ
)
けて意気劇烈、
些少
(
さしょう
)
も
仮
(
か
)
す所なく
〔気品の泉源、智徳の模範〕
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
この両三年は
殊更
(
ことさら
)
に音信も絶えがちになっていたので、故郷の父親は大層心配して、汽船会社に聞合し、自分の乗込んだ船を知り、弟を迎いに
差向
(
さしむ
)
けたという次第が分りました。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
(ああ、ああ。)と
濁
(
にご
)
った声を出して
白痴
(
ばか
)
が
件
(
くだん
)
のひょろりとした手を
差向
(
さしむ
)
けたので、
婦人
(
おんな
)
は解いたのを渡してやると、
風呂敷
(
ふろしき
)
を
寛
(
ひろ
)
げたような、
他愛
(
たわい
)
のない、力のない
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今までは書林が中に
挟
(
はさ
)
まって居て、一切の職人と云う者は著訳者の
御直参
(
おじきさん
)
でなく、向う河岸に居るようなものだから、
彼
(
か
)
れを此方の直轄にしなければならぬと云うのが
差向
(
さしむ
)
きの必要。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
(あゝ、あゝ、)と
濁
(
にご
)
つた
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
して
白痴
(
あはう
)
が
件
(
くだん
)
のひよろりとした
手
(
て
)
を
差向
(
さしむ
)
けたので、
婦人
(
をんな
)
は
解
(
と
)
いたのを
渡
(
わた
)
して
遣
(
や
)
ると、
風呂敷
(
ふろしき
)
を
寛
(
ひろ
)
げたやうな、
他愛
(
たあい
)
のない、
力
(
ちから
)
のない
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
差
常用漢字
小4
部首:⼯
10画
向
常用漢字
小3
部首:⼝
6画
“差向”で始まる語句
差向い
差向ひ